【そら】と約束の墓標
…学園街区のはずれ、三笠公園…大戦後に造成された、人工砂浜の上。
ひとり散歩をしていた響は…そこに、ひとり佇むものを見かける。
それは…失われた学校の、失われた制服を着た少女…【そら】であった。
そら >「――――――(海を見ながらぼーっとしている)」
響 >「こんにちわ。何か見えますか??」
そら >「今日は…海は、あまり…よく見えない、よう…です」
海の彼方。観音崎、そして東京湾を挟み、対岸は千葉・木更津。
しかし、今は…晴れ渡っているにも関わらず、その景観は白く霞み、見ることが出来ない。
響 >「そうですね。そう言えばこうやって二人っきりで会うのって、初めてですね(笑)」
そら >「そう…でしたか―――今日は…何を…?」
響 >「こちらを通りかかったら、そらさんがいたので、声をかけたんですよ(笑)…あ、何か飲みますか??」
そら >「いえ…大丈夫、です(にこ)」
響 >「これからますます寒くなってくるけど大丈夫なの??」
そら >「そう…ですか…? …そう、いえば…気温は、低くなって…きました、が…わたしは…いつも、どおりです…どこに、いても…。」
響 >「外にいると凍えてしまいますよ(笑)」
そら >「だいじょうぶ、です…これでも、頑丈…ですから(にこ)」
響 >「頑丈っていっても風邪を引きますよ(笑)よかったら、冬の間だけでもウチに来ますか??」
そら >「かぜ…? かぜとは、吹くものでは…ないので、しょう…か?(きょとん)」
響 >「それは、違いますよ〜(笑)」
そら >「違うとは…どう、違うのでしょう…か?」
響 >「そっちは漢字で書くと『風』ボクが言ったのは、熱を出したり、咳をしたりする『風邪』の方ですよ(笑)」砂浜にタクトで字を書いて説明しよう(爆)
そら >「…どちらも、経験したことは…ありません、が…」
2人が話しているその時、この公園に乗りつけたバイクがあった。
乗っているのは、2人の青年…尽と怜である。
尽 >海岸か…仕事帰りか何かにバイクで乗り付けよう。じゃ、怜は後ろに乗る?
怜 >うん、乗る。メット貸してね(笑)
尽 >うい、では2ケツで(笑)公園横に乗り付けてメット取りつつ、「お、あれはそらちゃんじゃないか?」
怜 >「お?……綾瀬君も一緒みたいっすね」
尽 >「ちょっと行ってみるか。」つー訳で降りて、バイク駐車。
怜 >「そうだな」ひょいと降りて移動〜
そら >「…あっ…」バイクの音で、2人を視認した様子(笑)
怜 >「よ、そらちゃんに綾瀬君お揃いで−−/」
響 >「あ、火狩さん〜。−−/」>火狩さん
尽 >「こんちわ、そらちゃん。」
そら >「…こんにちは…また、会えました…ね―――綾瀬さんとは…今しがた、お会いした…ばかり、です」>尽&怜
怜 >「あ、そうなんだ」>そら
そら >「わたし…ここに、よく…寄るのです(にこ)」
尽 >「ところで、そちらの君は綾瀬君…だったかな?」
響 >「初めまして、綾瀬 響です。貴方は??」>尽さん
尽 >親指で自分を指しつつ「俺は『蓮石 尽』 でもって、ウィザードの端くれだ。更に言えば、こいつの先輩みたいなもんでな(笑)」怜を小突きつつ言う(笑)>綾瀬君
怜 >「そうっすね(笑)」<先輩>尽
尽 >「まっ、そんなところで、よろしくな。綾瀬君。」
響 >「宜しくお願いします。」>尽さん
背後の噴水公園で、音楽が鳴り出すと同時に噴水が動作を始める。
流れているのは、当世流行の歌音楽。どうやら、決まった時間ごとに発動するらしい…
(ちなみに、この噴水は実在する)
怜 >「……そういや、ここの奥に慰霊碑っつーか墓地があったはずだな……あとでお参りしてくるべ」
そら >「実は…これから、友達のいるところに行こうか、と…すぐ、近く…なんです(にこ)」>怜
尽 >「はは、そうか。」少し顔曇らせつつ>そら
怜 >「へえ、友達が近くに住んでいるんだ?」>そら
そら >「いえ…そこに、いる…のです。これから…行きます、か?」
響 >「行っても良いの??」>そらさん
そら >「はい…きっと、喜び…ます、から(にこ)」
尽 >「ああ、行かせてもらうとしよう。」>そら
怜 >「(大体推測がついてしまったらしい)……ちょいと待ってて」>そら
響 >「では、ボクは…」
怜と響はいったん臥龍学園の購買に出かけ、それぞれ白百合の花束と、ケーキを買ってくる。
共に、【そら】の言葉から、何かを感じ取ったがための行動である。
そんな買い物のひと幕の後…【そら】は、三笠公園から移動を開始し、
慰霊碑広場を横目に、学園敷地内のはずれを歩いていく…。
尽 >…みんな、気を使うんだな(笑)
怜 >慰霊碑広場のあたり横切る時にそっと十字切っておきましょう。
尽 >「…ここは、いい場所だな。」微笑みつつ独り言。
怜 >「……綺麗な景色だな、ここは」
響 >「ええ、良い景色ですね。ここ。(精霊が歌っていますよ)」
そら >「友達も…この場所、きにいって…ました、から(にこ)」
そして、海を臨む場所にひっそりと佇む、十字に組まれた木の前で…【そら】は、不意に立ち止まる。
木の結び目のあたりには…誰が巻いたものか、色あせた緑色の布が、マフラーのように掛けられている…。
その向こうは岩場になっていて…そこに、晩秋の穏やかな波が打ち寄せている…。
尽 >「そうか、それで…ここか。」納得したように。>そら
そら >「…つきました…わたしの、最初の…ともだち…(にこ)」
尽 >何事もなかったように自然に、十字の木に向かって、「よっ、はじめまして!」明るく。
怜 >「お邪魔します」十字の木に向かって一礼
響 >「初めまして。」十字の木に向かって一礼
そら >「いちばん、最初の…ともだち。わたしが、最初に…やくそくした、ひと…彼女が…いなかったら。わたしは…今、こうしては…いられません、でした…。」
尽 >「俺等、今のそらちゃんの友達〜よろしくな。」答え無き墓標に向かって語りかける。
墓標は、答えない。代わりに、海風に布がなびく…。
怜 >百合の花束を手向けて、こっそり十字切りましょ……内心でこう祈ってる:聖霊と父と子の御名において安らぎがあらんことを、Amen。
響 >Spirits' of a departed person blessing prays to that it is always given to you. The voice which spirits of a departed person sing always sounds, crosses, and does not grieve you. It prays.(精霊たちの歌声が常に響き渡り、精霊たちの祝福が常に御身に授けられんことを…)小さな声で祈りを捧げましょう
その間にも【そら】はごそごそと懐をまさぐり、ぼろぼろに色あせた写真を取り出す。
そら >「わたしと、彼女で…ここで、よく…お話を、しました。だから…ずっと、会えるように…ここで。」
尽 >「……」海の彼方を見ながら、聞いている。>そら
怜 >「大事な友人なんだな……」
そら >「はい…わたしにとって…一番の、ともだち…でした(にこ)」>怜
その時。不意に吹き付けた一陣の海風に、【そら】の手から写真が離れ、空へと舞い上がる。
そら >「あ…」
怜 >「あ……写真が」
それが落ちるよりも前に、手に取ったのは怜だった。
写真に写っているのは…「緑のネクタイをした」小さな女の子、もうひとりは薄い髪の色をした少女。
怜 >内心:そうか……この子か 写真と十字に巻かれた緑の布を比較しつつ
そら >「――――――(困ったような顔をしている)」
怜 >「あ……済まない」写真返そう>そら
そら >「いえ…すみません…(ぺこり&写真受け取り)」>怜
怜 >「ともあれ……海に落ちなくて良かった」
そら >「はい…もう、写真は…この一枚しか…残ってません、から(にこ)」>怜
怜 >「……そうか……」<写真>そら
そら >「でも、ありがとう…ございます。これが、なくなったら…わたしと、彼女をつなぐ…思い出が、また…消えて、しまいます…から(にこ)」>怜さん
怜 >「……また?」口に出してしまってしまったという表情>そら
【そら】は、この時即答が出来なかった。自らの記憶にある、微妙な違和感に、ふと気付いたからである…
…何故、自分は彼女の名前を覚えていないのか?
だが、今はそれよりも、怜の疑問に答える事が先だった…
そら >「この、写真と…この、場所…そして、わたしの…数少ない、記憶…です」<思い出
怜 >「そうか……(小声で)すまない」>そら
そら >「いいんです…少しでも、誰かの思い出に…なれるなら、彼女も、よろこぶ…と、考えます」
尽 >「写真か…違うな。」
そら >「……・?」>尽
尽 >「そらちゃんの友達の、生きた証は……」
そら >「…生きた、証は…?」
尽 >「そらちゃんが、今彼女を想ってること。そらちゃんが、彼女を思い出してることに残ってる。墓標や写真なんて、問題じゃないさ…思い出されることが無くなったとき、人は本当に死ぬのさ。俺はそう思ってる。」
怜 >「(少し考えて)……そらちゃんが生きている限り、彼女も一緒にいるさ……姿は見えなくても、きっとそらちゃんを見守ってる」
響 >「そうやって、誰かの生きた証が受け継がれていくんです」
そら >「―――(静かに、いろいろな意味がこもっているであろう、くすんだ微笑を向ける)」
尽 >「誰かがその人を、覚えている限り、人は死なない。」
そら >「きっと…そうだと、考え…ます。だから、わたしは…それに、報い…なくては、ならない…のです。残ってしまった…ものと、して―――そして…」
尽 >「またー重くならないんだって。そらちゃんが思い詰めても、その友達は喜ばないと思うぜ?(笑)」>そら
怜 >「行いを見守っている人はいる……贖罪の心があるなら、許される日は来る……必ず」
そら >「そうかも…しれません、ね(にこ)」
尽 >「そーそー♪ 俺は重いの苦手なんだって(ははっ)」<そうかも>そら
そら >「ごめん、なさい…もしかして、迷惑…でした、か?」>尽
尽 >「迷惑? (きょろきょろ周囲を見回して)誰か迷惑してるか?(笑)」と言って怜と響君に聞こう
怜 >「ったく、いちいちに謝る必要ないべさ(苦笑)無理にとは言わないけど……俺らの前で気を遣う必要は無いさ」微笑みかけて、尽にアイコンタクト返しつつ(笑)>そら
響 >「そうですよ。友人同士ですからね(笑)」
尽 >「ということで、誰も迷惑してないぞ(笑)」そして下手なウィンクを(爆)>そら
そら >「わたしは…そんな、たいしたものではない…のです、けれども…(更に小さくなって困々)」
尽 >「あーもー、気にすんなって(笑)」>そら
怜 >「……これも何かの縁さ……(笑)」
そら >「はい…それなら、今は―――そう、します…ね(にこ)」
【そら】は微笑んだ…彼女を友と呼んでくれる人々に向かって。
だが、彼女の中のどこかで、依然として「違う」と宣告する、彼女自身が居る。
何ゆえに…毎度ながらそれが分からないのが、彼女にとって目下最大の問題なのだが…。
響 >「さて、せっかくですからお茶にしましょう(笑)」そう言ってケーキを出します
尽 >「お、響君、気が利くな♪」<お茶
響 >お茶とケーキはみんなの分がきちんとありますよ。そらさんの友人の分も含めて
尽 >ホント気が利くなぁ(笑)<人数分ちゃんと
怜 >「……イギリス人のお茶会好きは本当だったんだな……」
響 >期待通り、出したのは紅茶です(笑)
そら >「ありがとう、ございます…(にこ)」響から受け取って「さぁ…」と、墓標の前にも置きます。
そして…穏やかなひとときが始まる。海風と打ち寄せる波、4人と1人のお茶会が…。
尽 >「ふぅ、俺にはカップだと少なすぎるな〜」がぶ飲みするな(笑)
怜 >「……尽さんは相変わらず豪快っすね(笑)」
尽 >「ところで、綾瀬君はイギリスの出身か?」祈りを聞いて>響君
響 >「ええ。最近までイギリスにいましたから」>尽さん
尽 >「そうか。さっきの、綺麗な英語だったからな。やはりか。」>響君
響 >「まだ日本語は余りうまくないんです(笑)」>尽さん
尽 >「聞いていいものかしらんが…何故、日本へ?」>響君
響 >「交換留学生で日本に来たんです。父方の祖母と、母方の祖父が日本人でしたから、行ってみたいと思って希望を出したら、通っちゃったのです(笑)」>尽さん
尽 >「そうか。ははっ、こっちの夏は暑いだろう(笑)」<交換留学生で>響君
響 >「夏の暑さには参りましたよ〜(笑)」>尽さん
怜 >「……俺も内地の夏は苦手だ……昼も夜も暑くてたまんねえ(苦笑)」北海道出身だから(笑)
尽 >「ははっ、俺みたいな男には丁度良いがな!(笑)」
そら >「イギリス…ですか…行ったことは、ありません…が…どんな、ところ…なのでしょう…?」
響 >「イギリスでは夏でもコートは手放せませんよ。一日で四季が体験できるって言われてますから(笑)」>そらさん
怜 >「尽さん……尽さんは何処出身でしたっけ?」
尽 >「熱くてこそ夏! 熱くなくて何が夏!」意味もなく燃えてる(笑)
その後、彼らは日没までまったりとした時間を過ごし、
そして夕闇迫る中、それぞれの道へと別れていった。
それは…世界をいまひとつの、そして何度目かの脅威が襲うまでの、
ささやかで…それでいて、平和な時間…。