電脳英雑オンラインセッション・「ナイトウィザード」
守るべき世界
侵魔に魅入られた街…激戦都市【横須賀】
NWOS世界における横須賀市は、現在の我々が知る神奈川県横須賀市と同一存在軸に存在する、別空間の横須賀市である。
そのため、我々が知る現実の横須賀市とは、まったく異なる特質を持つ事を、予めおことわりしておく。
【関東異界大戦】で、特に壊滅的打撃を受けた横須賀市は、戦後各財閥により逐次再建され続けている。
言うまでもなくその中心は、かつての米海軍横須賀基地こと【臥龍学園】である。
その臥龍学園を中心にした一帯(楠ヶ浦、泊町全域およびJR横須賀駅〜京急線横須賀中央駅一帯)は、
臥龍学園関連施設が密集しており、俗に【学園街区】と呼称されている。
学園街区のはずれには、関東異界大戦の激戦地【三笠公園】。
そのシンボルは、明治時代に建造された戦艦であるところの記念艦「三笠」であり、
これは100年以上前の船でありながら、当時の面影をよく留める歴史的遺産である。
また、その付近にはかつて「楠ヶ浦学園」と呼ばれる進学校が存在していた。
この学校は、ウィザード養成校として多数の聖職者や使徒を輩出したが、大戦の折に完全に破壊され、
現在では大戦での戦死者(表向きは震災における死者)を弔う慰霊碑が、跡地に建立されている。
その沖合いに浮かんでいるのが【猿島】。東京湾唯一の自然島として知られるこの島は、
旧世紀には軍の要塞として使用されていたが、その後海洋リゾート化の頓挫などを経て
現在は保存に最低限の整備だけを施された状態で一般開放されている。
学園街区の北には、かつての日本海軍や国土防衛隊が基地としていた【港湾区】が広がる。
これらの港湾は、JR横須賀駅の設備と連動する事により、
東京湾内の各港や海外からの物資を、ベイタワーや臥龍学園に流通させる事において最大の役割を果たしている。
更に北、追浜区域は工業地帯と、臥龍学園大学部が存在している。
横須賀湾の入り口、【港湾区】と【臥龍学園】を結ぶ海上には、【横須賀ベイタワー】。
大戦後の復興の象徴として鳳凰院家が計画、その後霧澤家との和解を経て、
両者の共同出資により建造された地上70階・地下6階建て、高さ365mのランドマークである。
21世紀本邦初の超高層建築物として東京タワーをも越える高さとなったこのタワーには、
横浜ランドマークタワーに使用された技術がすべて応用されており、
更に徹底した自動化によって、移動・使用時の労力を最低限に抑える事に成功している。
その内部はオフィス街として設定されており、帝都東京の施設が陳腐化しつつある今、
本社オフィスの移転先として数多くの企業から注目されている。
なお、ベイタワーは海底トンネルによって臥龍学園及び港湾区北岸と繋がっている。
学園街区の南東、平成町から観音崎、浦賀に至るまでの一帯が【ニュータウン】である。
巨大なマンションやショッピングセンターが立ち並ぶこの一帯こそは、まさしく横須賀の流通上の要である。
またこの一帯は、関東異界大戦当時において、唯一壊滅を免れた旧横須賀市の住宅街である。
これは、関東異界大戦より以前(すなわちニュータウン開発当時)において、
御門家による強化結界が施されていたからであるが、その理由については明らかにされていない。
もちろん、対外的には関東異界大戦自体が「震災」として説明されているので、
このニュータウンがかかる災厄を逃れた理由は「耐震構造」にある…と、説明されているのだが。
その西側、北は追浜から南は久里浜までに至る地は、関東異界大戦の折に徹底的に破壊された地域である。
これらの地域では御門家の指導下により、ニュータウンに準じる形で順次再開発が進んでいるのだが、
古くから鳳凰院家の影響下にある地域では、御門家による再開発を心良しとしない勢力による妨害が多発しており、
特に衣笠〜池上周辺は、抗争激化により開発がほとんど停止しており、それに伴う再荒廃が進行していた。
この一帯は【スラム】と呼ばれ、一般人はあまり近づかないのだが、
超法規的物品の流通に使われる事も多く、その筋の人々には有用な拠点となっていた。
しかし、近年起きた「ファイザッハ事件」以後、この風潮も聊か改められ、
鳳凰院・霧澤両家が手を組んだ結果、衣笠地域は【衣笠ニュータウン】として再整備された。