電脳英雑オンラインセッション・「ナイトウィザード」
『ディメンジョン=ガジェット』とは!?
これは、本編・外伝で判明した事実に、推論を加えたものである。
『ディメンジョン=ガジェット』
本来は『臥龍の護り』の地である横須賀に、かつて存在していた楠ヶ浦学園にて開発されていたもの。ローマ聖王と先代フォルツァ枢機卿の承認のもと、エミュレイターの一掃を目的として開発された。
しかし、その本来の能力は…アカシックレコードを無視してすべての事象改変を意のままとし、即ち無を有に、有を無にする事が出来るというおそるべきものであり、当代随一の天才たる十塔ハジメをして「理解の範疇を超える」と言わしめた代物であった。
開発担当はイシマール大においてエネルギー工学の権威であったドクター=アルベール、仏シュフラン大において大脳生理学の権威であるモルセール教授、オカジマ技研ロボテックス事業部技術主任・杉崎一郎博士、アンブラ所属の技術者ドクトル=エルツフェルズ、そしてオクタヘドロン所属という以外ほとんどが不明な謎の人物『マスター=ジェスター』の5人。更に、イシマール大の遺伝子工学の泰斗・プロフェッサー=コスの名も挙げられている。
うち杉崎博士は故人、ドクター=アルベールは不祥事により逮捕されている。
その制御には、発電所並みの出力を持つ施設が必要なのであるが、制御されるディメンジョン=ガジェット本体は握り拳くらいの大きさしかない。にも関わらず、発揮されるその能力とパワーはおそるべきものがある…とされた。
また、楠ヶ浦学園で試作されていた制御システムは、思考波制御システムの大家・サーキンス博士(故人)の研究を応用したものが使用されており、更に安全装置として『臥龍の護り』を司っていた3本の原型箒『ユグドラシル=シリーズ』を用いていたが、これらのシステムは大戦の折に破壊され、ディメンジョン=ガジェット本体も消息不明となっている。
ただし、完全に無に帰したとは考えられない…横須賀の『臥龍の護り』によって護られているモノ…これが、ディメンジョン=ガジェット本体と同質のものである、という情報もあるからである。
『インフィナイト』
インフィナイトとは、前述ディメンジョン=ガジェットを守護し、かつ該当施設である楠ヶ浦学園のウィザードを支援する目的で開発された擬似人間である。
基本設計は前述の杉崎博士によって行われ、機械型人造人間をベースとしているのだが、ディメンジョン=ガジェットの膨大なパワーをもって無線稼動する事、また破損してもたちどころに修復してしまうといった高いダメージコントロール能力を有する。
これらの超常技術は、旧世紀に地球へともたらされた「シベリア隕石」こと人造人間の祖…通称「インフィナイトOGフレーム」…よりもたらされたものである。その本来の動力システムは、ディメンジョン=ガジェット本体と共通した性質を持っているとされており、ディメンジョン=ガジェットの護衛とするには最適であった。
しかし、その真の能力はウィザードと対になった際に発揮される…『エヴォリューション』と呼ばれる能力は、ウィザードの戦闘能力を高める効果がある。更に『欠片(フラグメント)』と呼ばれるリモートユニットを介してウィザード自体に融合、非常識なほどにその能力を強化する事が出来るのである。
実際には、試作機(シリアルナンバー00)が完成。以後量産化の計画があったが、楠ヶ浦学園の消滅によりかなわなかった。
しかし、現在…この『インフィナイト』を名乗る存在がいる。かつてのインフィナイトと同一の力を操る、その存在は…
『沙弥≠ニ呼ばれた少女』
この、途方もない力を持つディメンジョン=ガジェットを動かしていたのが、大戦当時若干13歳の少女『杉崎 沙弥』であった。
その出自は不明……ただし、独自調査によりプロフェッサー=コスが、サーキンス博士の依頼により造り上げたクローン人間XC00386であるという事が判明している……生まれながらに、巨大な魔導施設を制御する特性に秀でていた。
余談ながら、彼女のオリジナルは『サーシャ=クラスヴィンカヤ』という女性であるといわれている。その詳細については、今後の調査を待たねばならない。
また、ウィザードとしての豊かな資質もあわせ持ち、サーキンス博士の死後楠ヶ浦学園に引き取られた後は、同学園騎士団の最強部隊<ノルン>の第2隊長に選出されている。
これは、当人の年齢・性癖などを考慮すると儀礼的なものであるのは明白ではあるが、当時3人居た<ノルン>の隊長に『ユグドラシル』が託された事を考えるに、その能力の強大さは理解できるだろう。
学園において彼女は、ディメンジョン=ガジェット開発スタッフの1人・杉崎博士に引き取られ、娘として育てられていた。この時、完成直後のインフィナイト試作機とペアを組んで活動していたという記録も残っている。
しかしながら、ディメンジョン=ガジェットをコントロールしていたという事実は、杉崎博士も知らなかったらしい。
そして、運命の大戦当日…彼女がどうなったかを、正確に知っている者はいない。
判明しているのは「最後の戦いに単身赴き」「弓や司など何人もの生命を救い」「マリキュレイターの本体と戦って」おそらく死亡した、という事くらいである。
一説には【そら】こそが沙弥本人である…ともいわれているが、【そら】当人が当時の記憶を失っており確証はない。
遺体のない彼女の墓は、現在も三笠公園の片隅にある入り江に、ひっそりと佇んでいる。