【第12夜】
魔の片鱗
〜黒き星の皇子/NWOS版〜
<PART−01>
序章・【そら】と2人のトモダチ
〜その1〜
さて、今回のNWOSは…夜闇の中、逢守神社の裏手の山中から物語を始めよう。
そこで、息も絶え絶えになりながらただ剣を振るい続けているのは…神代 微である。
そら >では………その先に、幻のように出現します。
微 >気配があればすぐ見つけますー。「……そらさん……?」
そら >「……………………………………………また………会えましたね(寂しげに見ています)」
微 >「……そらさん、今まで……いえ、そんなことより……大丈夫なのですか!?」 一瞬転びそうになって、それでも駆け寄り。
そら >「…………………………私なら………問題は、ありません」返り血いっぱい(爆)
微 >「……っ、どこが問題ないのですかっ!」 とりあえず怪我を確認。
そら >「損傷は………すでに、再生しました(にこ)」
微 >「……無理、しないでください……」 俯きながら、小さな声で……
そら >「……………………どちらが、無理をして………いますか?」
微 >「私は! 私は……いいんです。そらさんは、一人で何をしていたんですか!?(激情モードで)…あの魔石はそらさんでしょう!? ひとりで、あんな無茶を! 一体どうしてあんなことを!」
以前、【そら】は魔石を微ほか何人かのウィザードに贈った事があった。
月匣アタック104「密着!そらりん24時」参照である。
そら >「…………………………………………………………………………命を………粗末に、しては………いけません」
微 >「私は……粗末になんかしてません! そらさんこそ無茶を!」
そら >「もっと、ダメージを受けた時でも………大丈夫でした………だから、大丈夫(にこ)」
微 >「今までは大丈夫だからと言って、これからもそうだとは限らないじゃないですか!」
そら >「それよりも………私は、あなたが………命取りな挙動を取ることを………看過できません」
微 >「……命取り……命取りなんかでは、ないですよ……むしろ……罰ですから」
そら >「…………………………あなたは………命を、奪わなかったから………罰は、必要ありません………」
微 >「……そらさん……すみませんでした」
そら >「……………………………………なぜ、謝りますか………?」
微 >「私が、私を許せないんです。あのときの……私を。そして……友達に、何も語っていなかったことを」
微が言っているのは、かつて【そら】の力…フュージョン=キャノンをめぐり、
学園報道部のウィザード…守薙経一朗とやりあった件である。
そのとき、確かに…微は守薙に殺意を覚えていたのだ。
自らの功名心を報道の自由と履き違え、あくまで【そら】を晒し者にしようとする男に。
これも月匣アタック104「密着!そらりん24時」参照である。
そら >「あなたは………《沙弥》と同じ………」
微 >「……沙弥さんとは、多分、違うと思います……」
そら >「いいえ………………………………(ぎゅ)」
微 >「そ、そらさん!?」 ぎゅに驚き(^^;)
そら >「……………………………………………(にこ)」
微 >「そらさんに……いえ……」 口ごもって、口調を変え 「……私は、『神代微』ではありません」
そら >「…………………………………………………………………?(首かしげ)」
微 >抱かれたまま、小声で「……私は、自分が誰だか、わかりません。私の今の名前は……数年前、『当麻』に呼ばれたときに、この神社に引き取られたときにつけられた名前です…それまでは……孤児院で、一人ぼっちでした……友達も多くなかった……」
そら >「………………………………名前が、ない………ですか?」
微 >「両親のつけてくれた名前、が、私にはないんです」
そら >「…………………………………………………………………………………でも、孤児院は…………………ともだちが、いっぱいいる場所………です」
微 >「……そらさんの知っているところは……いいところですね」 悲しげに微笑みー 「……いまは、友達もいます」 吹っ切ったように
そら >「…………………………微さんの、『トモダチ』は………………だれ、ですか?」
微 >「……そらさんも、トモダチだと、思っています。私は……私が、そう思っているだけかもしれませんけど」 自信喪失中(^^;)
そら >「…………………………………………………………わたしが………トモダチ…………?」
微 >「ええ、私は、そらさんを友達だと思っています。……いけませんか?」
そら >確認するかのように視線を合わせます………
微 >見返します。
そら >「……………………………………………………(ちゅ………くちゅっ………)」
だから舌入れるな、そらりん(爆)
微 >「(……っ)」 まあ、目は白黒させますが(苦笑)
そら >「…………………………(唇を離して)………今日は、驚きません………か?」
微 >「少しは、驚きます」(苦笑)「……本来、女性同士でするものではありませんし。でも……そらさんが、それで納得してくださるなら……トモダチ、ですから」
そら >「……………………私には、これしか………わからないから………そして、トモダチには………感謝しないと、いけないから………(ちゅ)」
微 >ちゅに苦笑しつつ 「……感謝してほしいのでしたら、無茶はやめてください……私は、そらさんが、大切なんです」
そら >「………………………………(もう一度、やさしく………ぎゅ)」
微 >「でも、私は……自分の存在意義自体が、割と、あやふやなんです」
そら >「存在意義………………………?……………………私は、エミュレイターと戦う事が存在目的………です」
微 >「……それは、私も同じです。私は……エミュレイターから、人を守りたい……ここのところ、守れずじまいですが」 一瞬だけ暗い表情に、すぐ戻して 「修行不足です」
そら >「やはり………あなたは、『沙弥』………(ぎゅ)」
微 >「……私は……沙弥さんには……なれません」
そら >「…………………………………………(首を横に振る)」
微 >「沙弥さんのように、そらさんに信じてもらえていませんから」 悲しげに
そら >「……………………………………………なぜですか………?」
微 >「沙弥さんとそらさんは……一緒に戦っていたんでしょう? 私は……そらさんにとって、守る対象でしかない……私は、そらさんに……『必要』とされたいんです。友達として」
そら >「……………………………………わたしは、ウィザード支援ツール………自ら『望む』ことは………ないのです」
微 >「ツールではなく……一人の友達として、そらさんにいてほしいんです……私が、そらさんを友達として……必要としているように」
そら >「…………………………わたしには………こうする以外に、選択肢が………ないのですが、それは………微さんは、望まない…………………どうすれば………良いのでしょうか。」
微 >「友達として、そばにいてほしい。それが、私の望みです」
そら >「私は………『生命』ではないのですが………」
微 >「関係ありません。そらさんは、そらさん。何度も言ったでしょう?」
そら >「………………………………………………………私は、エミュレイターと戦わなければなりません。今までも、そしてこれからも………人が動けないときであっても………滅ばないこの体とともに……………………それでも、よいのですか?」
微 >「……そらさんは、私の、友達です。いいも悪いもありません…私は、そらさんと同じことはできないかもしれない。でも、そらさんと一緒にエミュレイターから人をも守りたい」
そら >「本当なら………私は、あなたにもっと、力を………あげられるはず、ですが………壊れているので、出来ません………」
微 >「壊れては、いません」 微の方から抱きしめます。 「こうして、ここにいるから」
そら >「…………………………(じっと正面から見つめます。どこか………慈しむ様な眼差しで)」
微 >では……微笑んで、見返し。「……友達として、ここにいてくれているから」
そら >「………………………………やはり、あなたは………『沙弥』です………………身体は滅びても………………『ココロ』は滅びない………『沙弥』は、そう言っていました………………」
微 >「……? 私が……?……何かの、間違いですよ」(苦笑)
そら >「あなたの言葉は、わたしの身体に………伝わっているから………」
彼女の髪が、やさしく緑色に輝いた…
微 >「……そらさん……!」 髪の色変わったので驚きー。
そら >「………………………そして、『沙弥』の勇気と………優しさを受け継ぐあなたに………私は、これを贈ります………」
【そら】は数歩離れ、胸を開いた…すると、まばゆい輝きと共に、
暖かな鼓動を刻む紅色のクリスタルがひとつ、姿を現す。
それは…微は知らぬ事であったが、かつて翔真たちが手にりれたクリスタル…『欠片』だった。
微 >「……こ、これは……? そらさん、大丈夫なのですか!?」 まずそっちが心配(^^;)
そら >「これは………………わたしの、『欠片』………あなたは、私をトモダチと望んだから………その、証です」
微 >「かけらって……大丈夫、なのですか?」 本気で心配になったらしく、不安げな表情で。そらちゃんとクリスタルに目が行ったりきたり(^^;)
そら >「あなたに溶け込んで………あなたの力に、なります………(にこ)」
微 >「私に……?」 クリスタルを見つめる。
そら >「そう………私は………翔真さんたちと同じように、あなたを………選びました」
微 >「……ありがとう、ございます……」 <選んだ 少しだけ、声が震えつつ……
そら >「これは、あなたのもの………わたしの、トモダチの証………」
微 >「……ありがとう……」 クリスタルをぎゅっと握り締めて、胸元に。
暖かな光と共に、クリスタルは微の中へと消えた…
微 >「…………」 俯いて沈黙しつつ……少し、肩震わせ。
そら >「………どう、ですか?」
微 >「……ありがとう、そらさん……ありがとう……」 だんだん涙声に。
そら >「……………………………(なでなでぎゅー)」
微 >そして、そらちゃんにすがり付いて大声で泣き始める!(爆)
「うわあああああ……っ!」
そら >「……………………………………………」まるで娘をあやす母親のような眼差しで、ただ静かに感情を受け入れ続けています………
微 >……では、長かったのか、短かったのか……声が聞こえたのかどうかも判らぬまま、微が顔を上げます。
そら >「…………………………感情が………伝わってきます………純粋な………輝き…………………それが、あなたの………本当の、力……………………………あなたの………『沙弥』………(にこ)」
微 >「……すみません、でした」
そら >「……………………………………………(どこか暖かな眼差しで)………いいえ………」
微 >「……私は、ひょっとしたら……そらさんに何もできないのかもしれません。でも……そらさんの、友達で、いたい」
そら >「あなたは、もう………私のトモダチ………(にこ)」
微 >「……ありがとう……『そら』」
そら >「……………………………気温が低くなっています………ここでは、あなたの体調に………影響します」
微 >「……(苦笑)大丈夫ですよ……ありがとう」
そら >「あなたは『生命』………ですから、安全を………確保します」
微 >「私は、あなたも心配なんです……今日は、泊まっていってくださいますか?」
そら >「………………………………………それが一番である、と………結論できます(にこ)」
微 >「安心、しました……」 はたと気がつく(笑) 「……変なことは、なしですよ?」
そら >「………変なこと………?(首かしげ)」
微 >「……あ、ええと……その、今日は、疲れてるので、ゆっくり寝かせてくださいますか?」 墓穴掘ったと思いつつ(^^;)
そら >「では、膝枕を………します」
微 >「……そんなことしてくれなくてもいいのですけど……普通に休みましょう?」 哀願してるな、これは(笑)
そら >「……………………………わかりました(こくり)」
微 >「では……戻りましょうか。汚れてますし、お風呂に入ってくださいね」……お風呂でひと騒動は間違いないですね(笑)
そら >「………………はい(にこ)」
かくして、【そら】はその夜、微の部屋で一緒に眠る事になった…が、その数日後。
全滅の危機に陥ったアドノレ達を救うため、【そら】は再び単身エミュレイターと戦う事になる。
この時、アドノレ達に何があったかは、月匣アタック109「死闘!チョコライダーバトル」を参照。
そして、その後…再生中の【そら】を、翔真が見つけた。
そら >「……………………………………また、あえましたね…………(にこ)」
翔真 >「あぁ………そらは、月匣から戻った所か?」
そら >「はい。今日は………………助けを呼ぶ声に、導かれて………いきました………………………」
翔真 >「そうか、頑張ったな……(フッ)」側によって手伝えるなら治癒魔法で手伝いたいですな(笑)
そら >「………………………ごめんなさい………(視線を地面に落とす)」
翔真 >「謝らなくて良い。それとも謝ると言う事は、そらは何か悪い事をしたのか?」
そら >「D=PHOENIX………………………使いました。4回………連続で。微さんと………弓さんに、おこられます………おそらく。」
翔真 >「……その手段を用いねばならない程、事態が切迫していたと言う事か……(小さく嘆息)」
そら >「しかし、そうしなければ………犠牲は、もっと………大きくなると、判断………しました。また、私はおこられますか………?」
翔真 >「(頭を振る)………約束通り、“必要と判断した“のだろう?……なら怒りはしない(苦笑)」
そら >「………………【壁】を開いたら………2体のエミュレイターに追われている、ウィザードの皆さんが………生命の損失を防ぐことを、優先しました………」
翔真 >「………そうか。」
そら >「戦っていた………ウィザードは、8人………アドノレさんも、いました」
翔真 >「………アドノレが居ても、なおそれほどの状況に追い込まれていたのか……。」
そら >「理由は…………………わたしは、知りません。」
翔真 >「そうか……。」
そら >「………………応援を、呼べばよかった………のでしょうか………?」
翔真 >「出来るのならそうするべきだっただろう、だが時間的余裕が無いと言う時であればやむを得ない。」
そら >「弓さんは、不在………微さんも、戦える状態では、ありませんでしたから………(瞳を明滅させる)」
翔真 >「そうか……俺も力を貸せなかった……だから今回、俺はとやかくは言えない……。」
翔真は、目の前で再生中の少女に、そっと手を添える…
翔真 >「ウツホノコトワリモテ、カノトキヨ、サカマケ……」フリップフラップ
そら >「………ごめんなさい………(再生中)」
翔真 >「謝る必要は無い、俺の方が余計な真似をしていないか心配な所だ(苦笑)」
そら >「……………………だいじょうぶです。私は………頑丈、ですから(にこ)」
翔真 >「皆お前の事も心配している。友人が傷付くのは悲しい事だ。」
そら >「……………………………人には………時が、あります………しかた、ありません。それに…………………ひとりで戦うのも、なれてます………から(にこ)」
翔真 >「………最終的に決めるのはお前だ。一人で戦うのか、誰かと力を合わせて戦うのか。」
そら >「………………皆さんが、わたしを………【ひと】として………扱います。そうでは………ないのに」
翔真 >「(苦笑)こちらの勝手な思い込みで、お前を枠に嵌め様としていた事は確かだ……。」
そら >「わたしにあるのは………【ひと】の指示にどう答えるか………どう動くかを示すもの、です………ココロ、では………ありません」
翔真 >「お前が自分を『道具』だと言うなら、それを否定するのは止める。それがお前の一部である事が事実なら、お前の一部を否定するような真似はしない…だが、お前は間違い無く『心あるもの』だ。心を持つものは大切にしたい、無用に傷付いて欲しくない、護りたいと思う。」
そら >「わたしは………生命を護るべくある、存在です………護られることは、用法に………ないのですが………………………しかし、私は………【ひと】の指示には………逆らえません。ここに………問題の、原因が………あります(瞳が明滅する。困惑している………らしい)」
翔真 >「”何故”、と聞いても良いか……?」<逆らえません
そら >「生命を護るべくある………存在にとって、生命の意思は………もっとも、重要な情報、です………そして………その情報に、どう答えるか………が、私の………行動基準、です………」
翔真 >「なるほど……。」
そら >「しかし………わたしが、護られる………という情報に………わたしは、どう答えるべきかが………わかりません。」
翔真 >「先に言っていた、お前の『ココロ』だが………随分と前に、尽と、俺と一緒に居る時に、『嬉しい』と言う気持ちを感じたと言う様な事をお前は言っていたはずだ。」
そら >「…………………それも、実は………よくわからない、のです………なぜ、そういう結論に至ったのか………あり得ない話、のはず………ですが………」
翔真 >「どう答えるべきかは、俺や、他の誰かが答えを教えては意味が無いだろう……。」
そら >「しかし………………情報が、少なすぎるのです………ずっと、ひとり………でしたから」
翔真 >「有り得ない結論に至る事……そして、少な過ぎる情報……。」
そら >「今ある情報では………皆さんは、確実に………わたしを、おこります………」
翔真 >「………どうして怒られると思う?(苦笑)」
そら >「それが、わからないのです………私から見れば………戦闘による損傷は、あり得ないことではないのですが………皆さんは、それを拒むと………いいます。しかし………………損傷は、この通り………自力で再生、できます………現在使用できない、能力もありますが………現段階では、問題には………なりません」
翔真 >「……例えば、弓ちゃんや神代嬢が『回避出来るはずの』損傷を無視して戦闘行動を続けていたら……お前はどう思う?」
そら >「わたしは、皆さんを………まもります(にこ)」
翔真 >「お前が他の月匣に居たりなどで、関与できない場合だったら?」
そら >「………………それは、検知できない事象ですので………行動はできません」
翔真 >「後から、そう言う事態が有ったと聞いたら?」
そら >「……………………それは、私がカバーできない事象ですが………私は、何も出来ません………」
翔真 >「……仮定の話ばかりで少し卑怯か(苦笑)………要は『心配』になったり、自分の力が及ばなかった事を悔しく思ったりしないか?と言いたかった。」
そら >「………………………何度も同じ事を見ています………………………」
翔真 >「……もう、何も感じないか?」
そら >「………………………ウィザードは、エミュレイターと戦う戦士………戦いの中で生命を、落としたのでしたら………………義務を果たしたものと、判断します………」
翔真 >「………珍しいな、今のは俺の問いの答えになっていないぞ(フッ)」
そら >「………………………………?(首かしげ)………わたしは、最後まで………まだ、話していませんが…………………戦う以上は………犠牲が出ます。そして………犠牲に言及するよりは………その後の、対策にこそ………全力を注ぐべきと、判断………します」
翔真 >「何度も同じ事を見て、お前はもう何も感じないのか?と聞いている。どう判断しているかと聞いているんじゃない。」
そら >「………………………………わかりません………。」
翔真 >「あぁ……済まない。今のは俺が急ぎ過ぎていた……(頭下げ)答えを急かして悪かった……で、『解らない』か……。」
そら >「………………………ごめんなさい………(視線を地面に落とす)」
翔真 >「いや、上手く説明してやれない俺も悪い。お前が謝るより俺が先に謝らねばならん……(苦笑)」
そら >「いいえ………翔真さんは、何も悪くはありません………」
翔真 >「……そうだ。『沙弥』嬢は、お前のトモダチだと言っていたはずだったな……?」
そら >「………はい………………………………………………もう、死にました………それだけは、確かです………」
翔真 >「あくまで仮定の話だ。『沙弥』嬢が生きているとして、自分の身を省みず戦っていたら……どう思う。」
そら >「………………わたしは、『沙弥』の傍を………離れませんでした」
翔真 >「そして、護ろうとするよな。」
そら >「…………………………けれども、『沙弥』は……………………あのとき、『護らないで』………といいました。なので………護れません、でした」
翔真 >「……その時が『いつ』だったのか……それと何故『護らないで』と彼女が言ったのか……聞きたい所だが……続けてくれ。」
そら >「わたしは………また『護らないで』といわれるのでしょうか………生命を護ることが、私の存在目的………なのに」
翔真 >「……お前の存在目的の様に、護ろうとする事にも理由が有るなら、護られたくない事にも理由が有る時が有る。そう言う事だろう。」
そら >「…………………………………そうですね………」
翔真 >「死なれるのが嫌だから、死んで欲しくないから護る。また、護ろうとすれば、その者が傷付いて欲しくないのに、傷付く。だから護らないで欲しい。」
そら >「……………………わたしの存在は………………………間違っているのでしょうか………やはり、わたしは………『敵』でしかない、のでしょうか………」
翔真 >「そんな事有ってたまるか……!」
そら >「もし、わたしの存在が根本から、間違っているなら………可能性としては、充分にあり得ます………では………………………私は、破壊されます………か?」
翔真 >「………死にたいのか?」
そら >「もし、私が破壊されなければならないなら………私は、その裁定に従います………」
翔真 >「俺は、お前を殺したくない、壊したくは無い。だが、お前は破壊されたいのか?死にたいのか?」
そら >「もっとも………私には、自らを破壊する方法は………わかりませんが」
翔真 >「(深く息を吐いて)………例え100億の他人がお前を敵だと言ったとしても、俺は、俺達はお前を決して敵だとは思わん……お前が自分の意思で敵にならない限り……お前が生きたいと言うのなら、俺はそれを阻むもの断ち斬る剣になろう。死にたいと言うのなら………止めはするが、最後にはお前に任せる。」
そら >「私は………………どう判断すればよいのかが、分かりません………」
翔真 >「俺の希望は先程言った通りだ(苦笑)………不調を抱えていれば、正常な判断力を備えるのも難しい、か……?」
そら >「………………私には………判断能力が欠如しているのでしょうか………?」
翔真 >「欠如では無く不調を抱えている可能性は有る………涼夜に『コンヴィンス』を掛けられた事を覚えているか?」
そら >「………………………すみません、その辺りの記憶は………断続的にしか残っていません」
翔真 >「謝る事は無い(苦笑)……あの時のお前は、少なくともいつものお前とは違った。髪が発光した事は今までも何度か見たが、それだけには留まらなかったと思う」
そら >「………………そうなのですか………?」
翔真 >「つまり、『コンヴィンス』の効果を考えれば……そら、お前は今不調を抱えている状態なのだと言う推論も立つ。」
そら >「………………………確かに、戦闘能力のいくつかは………使用できませんが、現段階では………深刻な不調はないものと、判断します………」
翔真 >「……精神的な部分の不具合も考えられるぞ……・例えば記憶の混乱、喪失などが……。」
そら >「そのあたりは………エミュレイターと戦闘をする際には、影響がないので………」
翔真 >「昔の事で思い出せない事とか有るんじゃないか?それに……良いのか?トモダチとの思い出をなくしたままだったとしたら、そのままで良いのか?」
そら >「今、あるだけでも………大事な、思い出です………から(くすんだ微笑)」
翔真 >「………そうだな……それに、もしお前が『自分の意思で』その記憶を閉じ込めたのだとしたら……もう俺には何も言えん。」
そら >「………………私に、『意思』………はありません………」
翔真 >「………『感情』が有る者なら、必ず意思を伴うものだ(フッ)」
そら >「………これを言うのは、二度目ですが………わたしにあるのは………【ひと】の指示にどう答えるか………どう動くかを示すもの、です………」
翔真 >「覚えておく。だが“有り得ないこと“が起こった事も、間違い無い事実だろう?」
そら >「……………………………………私は、知らないことの方が………多いのです」
翔真 >「………聞いてくれれば出来るだけ答える様にしよう、出し惜しみは止めだ(苦笑)」
そら >「…………………………………そういえば………フルメンテナンスを受けた記憶は………ありません」
翔真 >「……それが出来る人物に心当たりは……?」
そら >「……………………………………………杉崎博士でしたら…………………………」
翔真 >「杉崎博士?……そうか、他には誰か?」
そら >「…………………………………………………………………………………………………………………(考え付かないらしい)」
翔真 >「それ以上思い当たらなければ良い、済まなかった(苦笑)」
そら >「…………………………………ごめんなさい………」
翔真 >「謝らなくて良い……俺も助けになってやれてない……そらを困らせてばかりだ(嘆息)」
そら >「いいえ。翔真さんは………どんな状況でも、先頭に立って戦っています………私が翔真さんを非難するべき理由は、見当たりません」
翔真 >「……それしか出来ないだけさ(苦笑)」
そら >「…………………私も、皆さんを護ることしか………できませんから」
翔真 >「………良く考えて見れば、俺は余りそらの事を知って居る訳では無いんだな……。」
そら >「……………………………………………聞かれませんでしたから………」
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