【第8夜】
戦士達、西へ
〜アドノレ篇〜
<PART−17>
死中に活を切り開け!!
「ククククク・・・今度は働きなさい、下僕ども!」
ウィルの命令にこたえ、数を減じた悪魔が今ひとたび、闇の魔力をウィルのブーメランに込める。
魔力ある一撃を、「ヘッシュ」では防ぐ事が出来ない…当然、アドノレが動く!
「どいつもこいつも同じ手を使う」魅惑のポージングと共に、いったん消え去りかかる魔力…だが!
「フ、しかしそれも計算済み・・・!」ブーメランを放った後のウィルの両手から炎が放たれ、アドノレの力を相殺する!
「これで・・・とどめとしましょう!」闇の力纏いし双刃が、一同をなぎ払わんとする…その刹那!
「ナガチカラ、ウツロヘカエレ…!」
『天津大鋼』が翔真の声に応え、哭くがごとく煌き…闇の魔力を払拭する!
結果、ブーメランは水壁に阻まれ、ウィザード達にダメージを与える事無くウィルの手元に戻る。
「……俺達も、昔のままじゃないさ…」口許を歪めて笑う翔真…だが、ウィルはまだまだ余裕に満ち溢れていた。
「なるほど・・・そんな力まで持っていましたか。しかし・・・いつまで耐え切れますかね?」
翔真 >虎の子のノーリーズン(笑)
弓 >はじいたー><
「翔真さん、反撃です…!!」可憐の声に導かれ、返す刀で翔真は今1匹の悪魔へと斬り込む…
その一撃は、悪魔を大きく傷付けたものの…致命傷にはまだまだ程遠い。
「もう一押しか・・・」「後少しだよ!!!」苦笑する翔真の背後からは、凛の応援。
その間にも、悪魔どもは…「ヴォーテックス=スフィア」を再度展開しつつ、様相を窺っていた。
「……………もう一度…!……」弓は、再度『右腕』を振りかぶり、ウィルへと斬り込む…だが!
「ククク・・・あなたは必ずそう来ると思っていましたよ・・・しかし、ね!」その姿が…霞のようにかき消える。
弓 >うわ、そんな特技まで(^^;…アドッちの奇跡はないしなー。
翔真 >弓さんは、目標が何所に変わるのかな?
弓 >結論、雑魚のダメージが一番でかいので痛い(爆)響はちっとも出てきてくれないし(−−;
凛 >う〜む、早く来てくれないと(^^;
「………………ちっ……気配ごと……消えた……?」「弓さん、それなら周りの兵を倒してください」
可憐の助言を受けて『右腕』の大出力が虚空を薙ぎ、傍に迫る兵士達を消し飛ばす。その数…34人!
しかし、ウィルの姿はどこにも見当たらない…戦場の背景に溶け込んでしまったかのように。
「……姑息な手ばかりが、好きな奴だ……。」虚空に響く哄笑を耳に、舌打ちする翔真。
「不死鳥の羽、ボクに力を貸して!」ウィザーズワンドに不死鳥の羽の力を借りた凛が、己の体力を回復させている間。
翔真は今一度、討ち漏らした悪魔に追撃を掛けていた。
悪魔は苦し紛れに「シャドーブレード」を発動するも…「この期に及んで、まだ姑息な手を使うか」と、
その魔力はアドノレの魔力にかき消される。
かくして…翔真の斬撃は見事に炸裂。悪魔は横一文字に両断され、残りあと1匹となる。
「……頼りっぱなしで済まんな」「いずれ利子をつけて返してもらうとしよう。なにしろ俺様なのでいつまででも待てるぞ」
このところ援護を受けてばかりで苦笑する翔真に、アドノレはニヤソ、と笑ってポージング。
例によって降り注ぐ雨(謎)が、弓と翔真を回復させていく。
「これで今しばらくはもつはずだ。一気に勝負を決めるが良い」
凛 >HP回復はなんとか済んでる〜全快じゃないけど、これならいける!!
一方、澪を連れながらも脱出の経路を模索する響は…一瞬の隙を見切り、
プラーナを燃やして銃弾をかわしきっていた。そのまま…響は行く手の戦場へと向かう。
響 >脱出成功・・・だと思いたい・・・プラーナ回復させて正解だったのかな・・・・・・はぁ
その頃、響が向かう仲間達の戦場では、ひとつの異変が起きていた…
銃撃態勢に入っていた敵兵達が、一斉に動きを止めたのだ。
そして…揃いも揃って、勝手に戦列を離れていこうとしている!
「なっ・・・・・・クローン兵ども、何をしているのだ!?」
狼狽するウィルの声など無視して、兵士達は離れた場所に静止する。
そして…クローン兵達の中心に。いつの間に現れたのか、黒服の男が現れる…
そう、翔真や響が見た、あの男が。
「あれれれれ?どしたんだろう?」驚愕しつつも、少し安堵顔の凛。
「とにかく、なんとかここまで形勢を盛り返せた〜一気に逆転しちゃおう!」
と、自信の笑みを浮かべながら仲間達を鼓舞する。
「……………(奴は一体……いや、今は目の前の敵を倒す。それからだ…。)」
黒服の意図を疑いながらも、翔真は剣を構え直す。
「天は我々に味方しましたか・・・ではみなさん、大きい魔法を掛けます」
可憐の詠唱を聞きながら、翔真は呟いた。
「……(悪魔でも良いさ)……」
「水に連なる霧よ、魔力を遮断したまえ」
そして、可憐の呪文が完成する…悪魔の周囲に湧き上がる、封魔の霧「ミスティ=フォッグ」!
しかし、悪魔はその場から舞い上がり…翔真に向かって飛び込む!
その一撃は強烈なものであったが…翔真の技量は、既にそれを凌駕していた。
爪を打ち払い、ニヤリ…と笑う。
「……温い…風邪を引く、なんてな…」
その向こう側から、天空に飛び上がった弓が悪魔の脳天へと『右腕』を振り下ろすも、これは回避される。
天地における所在が逆転した感のある弓と悪魔…地面には大きく亀裂が走っている。
更に、物陰から2本のブーメラン…移動してきていたウィルである。
魔王の怒りを帯びたその一撃が可憐を撃ち…プラーナの防御を突き抜けて、そのドレスを引き裂いていく…。
更に先手を取り続けるウィルは、再度「ディストーション=フィールド」を発動する…が!
「The spirits of a departed person who manage truth and falsehood are ordered.
Have your power and change with falsehood all arias for which they appealed.
Their magic will be stopped by my right words which borrowed your power.」
(虚実を司る精霊に告げる、我と汝の力もて、彼者の詠唱を封じんことを)
その瞬間、ウィルと悪魔の周囲に構成されつつあった魔力は一気に力を失った。
響 >ウィルの視界にはボクは見えないけど、ボクからはウィルが見えるはず〜。少しは焦ってくれるかな??
弓 >ようやく味方らしい行動してくれたなぁ(^^;
「!? 今の魔法は・・・ほぅ、なるほど」
一瞬驚きの表情を見せたウィルの視界の先には…響。
「これは響か。…心配は杞憂に終ったようだな」
「わぉ、響君!」「増援の到着ですね」
一度は危惧していた響の来援に、喜びの声を上げる仲間達。だが…
「(澪嬢がいたらフォローし切れる自身は無いぞ……)」
翔真が危惧していたように、響の背後には澪がついてきていた!!
翔真 >がーん(苦笑)
「ありり・・・・・響君?」いち早くそれに気付いた凛が、響にジト目を送っている間に、
「不味い……アドノレ!可憐!澪嬢のフォローを!!」翔真の指示の声が飛ぶ。
「私が誘導しますわ。アドノレさんが居なくなれば、防御がお留守になりますから」
すぐさま澪をフォローせんとするアドノレを、止めたのは可憐である。
「響さん、一般人を戦闘に連れてくるなんていい根性してますわ」
響の失策に苦笑しつつも、目の前の戦場に目を白黒させている澪をカバーする可憐。
なおかつ、アドノレの声が澪に飛ぶ。「車の後ろにでも隠れておけ」
「落ち着いたら、すべて話すから・・・。ボクを信じて・・・」
「え・・・えぇーと、はい、うん・・・っ」
アドノレの声と響の言葉に、ただ頷くしかない澪。
アドノレ >カリスマ付きの高圧的な台詞に有無を言わせず従って貰う(笑)
翔真 >可憐ちゃんが珍しく怖い台詞を(笑)
響 >(;^_^A アセアセ…
アドノレと悪魔が、それぞれのベストなタイミングを見計らってにらみ合うその時!
沈黙を破るように飛び込んだのは翔真、そして『天津大鋼』!!
虚を突かれた形になった悪魔の身体に、袈裟懸けの一撃…!
「翔君、ナイス!!」「……まだだ、浅い。」
翔真の言うように…悪魔はぼろぼろに傷付けられつつも、なお動きを止めない。
しかし、凛は自信たっぷりに言う。「大丈夫!次に繋がる一撃だよ!」
そう、凛の言う通り…滞空していた弓が、舞い降りざまの一撃を喰らわせていたのである!
…本来ならば、ウィルを狙っていたその一撃だったが、
ウィルが再び姿を消したため、彼女はとっさの判断で刃を返し、
飛び上がりながらも悪魔の胴体を深く斬り上げたのである。
翔真と弓、2人によって刻まれた×の字からどす黒い液体が迸り…悪魔は、四散した。
「さすが弓ちゃん!!」
凛が感嘆の声を上げるが、当の弓は不満も露な表情だ。
「………………コソコソと隠れて……………無様ね…」と、眼下の空間を目だけで見回している。
「どこのどなたか知りませんが、たしかに無様ですね」
「人の顔を覚えるのが仕事の一部な可憐にすら忘れられておったか」
明らかな呆れ顔、なおかついまだ事情を知らない可憐の言葉だったが、
ある意味アドノレは納得していた…そして、姿をくらましたままのウィルに言う。
「手下が消えたぞ。逃亡の算段は済んでおるか?」
可憐 >この人の正体聞いてませんし(笑)
GM >顔も違うし(笑)
ウィルの答えは、しかしアドノレが予想したよりは強気なものだった。
「さて・・・どうでしょうねぇ? 戦況は相変わらず、皆さんが不利ですよ・・・」
「この期に及んで、まだ自信満々なんだ〜やせ我慢?」
「クローン兵とやらが一斉に引いた時に慌てていたのは
何所のマヌケな魔王だった?…いや、モドキだったな」
凛や翔真の言葉に、うむうむ、とアドノレが同意する。
「The spirits of a departed person of water According to my aria,
it becomes whether to be pure and the becoming flow,
and an impure crack can be cured.」
(水の精霊たちよ、我が声に従い、清き流れとなりて、彼の者の傷を治せ)
その間にも、戦場に到着した響は…「キュア・ウォーター」で弓を回復する。
「………………………………今は、敵対する意志はない、と……」
ちらり、と響の所在を確かめた弓。確認するように呟いてから…
「…………………そこのお嬢さん………邪魔だから、リムジンの中で大人しくしてなさい……」
弓の言葉に、リムジンまで走った澪だった…が!!
「えっ、はい・・・・・・・・あ、でもドアが開きませんっっ!」
「まだ分かりませんか。戦場にイノセントを連れて来るなど・・・・・・愚の骨頂ッ!!」
ドアを開けられないままの澪に、出現したウィルのブーメランが飛ぶ!
「・・・・・・!!」
「……………(その点に関しては、残念だが否定出来ん。)」「……………だから言ったのに…」
狼狽する響、そして呆れ困惑する仲間達…だが、異変は再び起こった!
澪をアドノレ、可憐、響ごとなぎ払うはずだったブーメラン…しかし、それが不意に止められる!
見れば…何者かが空中でそれをキャッチし、傍らに降り立っているではないか。
紅の月光に照らされた、たくましきその姿…額に輝く『大三元』の文字…
そう、サムンゾである!!
「わぉ!ちょっと格好いいかも〜」驚きながらも、兄に勝るとも劣らぬサムンゾの行動に息を呑む凛。
「奴の攻めの片方は奪った。俺様が思うにあとひと押しだぞ」
咥えたブーメランをペッと吐き捨て、魅惑のポージングを放ちつつサムンゾ。
「・・・・・・ありがとう・・・」「サムっち、サンキュ〜!!」
「助かったぞ」「……飛行機の事と言い、借りが増えたな」
「申し訳ないのですが、その娘の面倒を見ていただけますか」
「・・・ふむ・・・よかろう」
ウィザード達の礼に応え、可憐の言葉を聞いた後、澪を見てニヤソと笑ったサムンゾ。
何を思ったかおもむろに彼女の襟首をつかんでバーストジャンプ!
「あ〜〜〜れ〜〜〜〜響くぅ〜〜〜〜〜〜ん・・・」
澪の声がドップラー効果で遠ざかり、あっという間に戦闘圏外…きらり輝くお星様。
「・・・・・・ぉぃ・・・」
呆れて突っ込みをいれたい響だったが、これももとより自分が原因。敢えて見送るしかなかった(笑)
「・・・えぇい、悉く使えない連中ばかりとは!」
一方、既に<白面>も解けたウィルは、あからさまに怒りを隠しきれない表情。
「………………いちばん使えないのは、あなたの頭ね…………
どうするのかしら、女の服を破くしか能のない魔王サマ…」
「あんなのを魔王と呼ばんで欲しいと言った筈だぞ」
そんなウィルを嘲るようにくすくすと笑う弓に、
魔石U1をぼりぼりと食べつつも、ツッコミを忘れないアドノレ。
「……お前の奥の手、そろそろ使わないと不味いんじゃないのか?」
「どなたか知りませんが、一般人を巻き込むなんて許せませんわ」
翔真と可憐、それぞれの言葉に舌打ちするウィル。
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