【第9夜】
焔の予兆
<PART−16>
決戦…変転!?
さぁ、いよいよ戦いだ。敵は前衛に瑠那と少年、
そして少年が呼び寄せた暴徒達…彼らは今、少年の意のままに動く操り人形でしかない。
一方、医師たちを避難させるべくその場を離れた【そら】以外、ウィザード達はフルメンバーの状況。
前衛に翔真・凛・弓・アドノレ、後衛に可憐、響という布陣である。
凛 >アドノレ前衛?!
アドノレ >アンホーリ−掛けて即逃げしようかと。要らないなら後ろ下がるけど(笑)
響 >あ、またしてもまわった、らっき〜33です〜
可憐 >IN値55ですね…ダイス運を前衛にあげたいです(笑)
凛 >ウォークライがないのに55って(笑)
可憐 >こちらも驚きです(苦笑)>凛さん
翔真 >後衛陣が一斉に加速している(笑)
GM >前衛は前衛で足並みが揃っているでわないか(笑)
翔真 >天意が働いているのかも(笑)
ちなみに、前衛は揃って23、アドノレは16…そんな訳で、先手を取ったのは可憐と響であった。
一方この時、瑠那は背中に翼を広げ、また何らかの能力を使用した様子。
更に少年も、コントロールした暴徒達で自らを守るように集めていた。
弓 >ふみゅ…シトか吸血鬼か…謎ダイスはEジャケ相当品かな?
翔真 >現の夢を1番最初に考えてしまいました(苦笑)<謎ダイス
弓 >あ、現の夢は「超対抗」でしたね(笑)アタリかも
「水よ壁になりたまえ」可憐の「ヘッシュ」が発動、水壁が前衛の仲間達を守る。
「可憐ちゃん、ありがと♪」「了解です」ウィンクする凛に、なぜか苦笑で返す可憐。
またその間に、響が瑠那に対してアナライズを試みるが…これは失敗に終わっていた。
「何時も通りだ、初太刀で相手の動向を見る。」翔真の号令一下、攻撃フォーメーションを展開する一同。
「……………お前の相手は…私がしてあげる(くすっ)……」「行っくぞ〜!!」
翔真は少年へ、弓と獣化した凛は瑠那へと攻撃を敢行。少年は暴徒達を盾にして、
瑠那は自らの翼で衝撃を受け止めるも…百戦錬磨のウィザード達の攻撃は、
防ぎきったはずのダメージを見事に通していた。
「うあっ…!!」「…っ、やったわねあんた達…!」
少年が悲鳴をあげ、瑠那が舌打ちする。
「……出来るなら殺したくない、今の内に止めろ。」「…嫌だ…!!」
傷つきながらも、翔真の勧告をはねのける少年。その一方で…
「降参する気になった?」「……………泣いて土下座すれば、許してあげてもいいわよ?(くすくす)」
「ふふ…お楽しみはこれからよ、子猫ちゃん達♪…っつーか、調子くれてんじゃないわよ」
凛と弓の言葉にも、強気な態度を崩さない瑠那…その口が詠唱を始める。
だが、その時…「魔法を掛けますので下がってください」
可憐が言うや否や、翔真、弓、凛、そして敵の周囲を魔法の霧が取り巻く。
魔法の力を封じる、魔法の霧…「ミスティフォッグ」!
だが、可憐のこの行動が、一行を思わぬ苦境に追い込む事になる。
瑠那が唱え始めていたのは「ぐるくる」をプラスした「ハリケーン」…
もともとはこれを封じるための「ミスティフォッグ」だったのだが、
これによって前衛陣は、一気に魔道具の力と魔法の支援を失う事になってしまったのだ。
(無論、先程可憐が唱えた「ヘッシュ」も、その効果を失っている。)
一方、能力を魔道具に依存していない瑠那たちには、魔法の使用制限以外まったく影響がない…。
凛 >向こうの戦力がどのくらい減るか?
弓 >実はあんまり減らない気がするなぁ…吸血鬼は獣人と同じだし…夢使いも特殊能力系だし、びみょ
可憐 >減らないですね。魔法攻撃を喰らうよりましですから掛けたので(苦笑)
翔真 >多分魔法が来なくなる位ですかね、主に前衛陣を纏めて転倒させられるのは避けられたと言ったところでしょうか。
弓 >ダブルトリガー、いまできない(笑)
翔真 >時間を稼がなけりゃならんですな(苦笑)
「無理言うな…!」天津大鋼の力を奪われた翔真の声が霧の中に響き、
弓ががくり、と膝をつく。「………………うぐ………っ………」
「ノーリーズン」を準備していた響は、この状況を見て魔法の使用を諦め、
R2魔石を使用して、プラーナの回復に掛かっていた。
また、魔法を使えなくなったアドノレも、MP回復のためもあり、後退せざるを得なくなっていた。
「この霧で、魔法とかは無力化したけど…・・翔君と弓ちゃんも…ボクが、やるしかないか!」
「ミスティフォッグ」の影響で使い物にならなくなった戦装束を脱ぎ捨て、
白銀の狐の姿になった凛が、瑠那に飛び掛かる…が、敵もさるもの。その攻撃を難なく受け止めていた。
「これを完全に止めるの!?」「ふふっ…なんだかこっちを有利にしてくれたみたいじゃない?」
驚愕の凛に、不敵な笑みを浮かべる瑠那…そこに弓が殴りかかるも、
「ふふ…痒いわね、子猫ちゃん…」
力を失った『右腕』では、ほとんどダメージを与える事もかなわない。
「……どうかな。」翔真は、「鋼」に戻ってしまった魔剣を少年に振り下ろすも…
「?!…避けないだと?」「ふぅ、危なかったよ…ありがとう、君達…」
そう、少年は避けようとはせず…暴徒たちが、代わりにその攻撃を受け止めていたのだ。
「クッ……糧にするだけでは飽き足らず盾にまで……」「気に喰わんな」
暴徒を意のままに操る少年に、憤りを隠せない翔真そしてアドノレ。
だが、その間に…少年が放ったいま一群の暴徒達が、響に殺到していた!!
「そういえば、教えてもらったよ。弱そうな人から倒すんだよね…」
その攻撃は怒涛のごとくあったが、響はプラーナを全開にしてかわし抜いていた。
「集中しろボク!」凛は更に瑠那へと攻撃を続けるが、
当の瑠那はその攻撃をまるで問題としていなかった。
「あぁら…可愛い仔狐ちゃん。今度は貴女が遊んでくれるの?」
「う〜魔法を付与した方がいいかな〜」惨憺たる結果に、思わず口走る凛。
「……………お前の相手は私……よ……く……ぁ……」
そこに割り込もうとする弓だったが、『右腕』の機能低下でその動きはぎこちないものだった。
「お間抜けさん♪味方の魔法でフラフラになってりゃあ、世話ないわね…」
一瞥し、一笑に付す瑠那…だが、彼女は知らなかった。
弓の『右腕』は…信じられない事ながら、急激にその機能を回復しつつあったのである。
GM >…「右腕」の能力を見てなかったかな? 実は、既にミスティの影響を脱してるはずだけど(笑)
弓 >煤i ̄□ ̄;そういえばそんなのもあった!1R減らせるって…もう動くじゃんっ(爆)
響 >にゃに〜(驚)
翔真 >おーい(苦笑)
弓 >隅っこにメモしてたから忘れてたや(笑)よし、反撃じゃー(爆)
「ふっ、久々に硝煙の匂いを染み付ける事になるな」
その間に、後衛に下がっていたアドノレは装備をショットガンに変更。更に…
「The spirits of a departed person of great water Gather for my origin.
And make the breath of whether to be pure and the becoming water
and purify all vicious curses gathering in this ground.」
(大いなる水の精霊達よ。我が元に集まり、清らかなる水の息吹を作り出し、この地に集いし、すべての邪悪なる呪いを浄化せよ。)
響が、凛に向かって「リラックス」を唱えていた。
が、もとより魔法依存能力の少ない凛に掛けたところで、実のところあんまり意味はなかったのであった。
【今回の教訓】 自らの能力は適宜チェックし、周囲の戦況は的確に把握すべし(爆) |
「避けちゃダメじゃないか…じゃあ、今度は君ね」「可憐ちゃん!」
響に対する興味をなくした少年が次に暴徒を差し向けたのは、可憐だった。
暴徒達にたこ殴りにされ、更に蹴りまで喰らって、どうにか倒れはしなかったものの、
可憐の傷は決して浅くはなかった。「流石に、今の一撃は…少し堪えますね…」
「今度こそ『視る』!」勢いをつけて瑠那に飛び込もうとした凛だったが、
可憐に気を取られたその隙に、瑠那は既に後衛へと下がっていた。
自然、少年がその攻撃を受け止める事になる…
「うぁあ…ぁう…!」「あっ!…ボクの相手はキミじゃないよ!」
暴徒に防御してもらってもなお刻まれた傷にうめく少年を前に焦る凛。
だが…傷つけられた少年の表情は、怒りに転じていた。
「僕は…邪魔する人が、みんな嫌いだ…!」
少年の叫びとともにその傷が徐々にふさがっていき、そして…暴徒達は、ふたたび響へと殺到する。
残り少ないプラーナを再度全開にして回避しつつ、響は「リラックス」で翔真を回復していた。
「人を踏みつける以上、己もまた踏まれる覚悟を持つ事だ。
それでもなお世界に牙を剥くなら、世界が何らかの形でそれに応えるだろう…
たとえばたまたま居合わせるウィザードとかな」
「そんなのはどうでもいいんだ。この力があれば…僕はもう、寝たきりじゃなくていいんだ…」
アドノレの言葉にそう答える少年に、弓が冷たい眼差しを送りつつ口を開く。
「…そうね…そのチカラがあれば、歩ける、走れる……で?
…歩けるようになって…アナタのやりたかったことって、何?
こうやって、私たちと戦うのが、アナタの望み?……」
だが、弓の質問に対する答えは、彼女の望んだものではなかった。
「…君達が悪いんだよ…喧嘩をしにきたのは、君達じゃないか。」
「………そうやって、駄々こねて言い訳してれば、
無数の人々を犠牲にしても許されるってわけ?…ホント、子供ね…………」
呆れる弓、そして…少年に向かって翔真が叫ぶ。
「死にたくないと思うことは悪い事じゃない、だが死んでも譲ってはならない事も有る…!」
だが、この時…少年は、自らを囮にして翔真の一撃を受け、
そうしながらも…暴徒達を翔真に殴りかからせたのである。
肉を切らせて骨を絶つ、この攻撃の前に翔真も可憐と同様、ひどく痛め付けられてしまう!
「翔君!!!」吹き飛ばされる翔真の姿に、凛が悲鳴を上げたその時。
可憐が叫んだ…「今です、アドノレさん!」
アドノレの手にしたショットガンから「エンチャントフレイム」を帯びたスラッグ弾が撃ち出される。
瑠那はその魔法の力を、弾丸内部へと封じ込めたが…「…………まだ、だ…!」
よろけつつも踏みとどまった翔真が、その弾丸にエンチャントし、
再び炎の魔力を帯びた弾丸は、「魂狩り」の力とともに瑠那を傷つけていた。
「世界結界の力が込められている。止めきれまい」
「ふふ…さすがにやるわね。もっとも…こっちはまだ本気出してないけど…」
それは単なる強がりなのか、それともまだ切り札があるのか。
いずれにせよ、瑠那がこの期に及んで、まだ手の内を見せていない事だけは明らかである。
「う〜卑怯だぞ!前に出て来い〜!」「うふふっ…もっと吠えなさい、仔狐ちゃん♪」
そのままでは攻撃が届かないこともあり、闘気を組み替えながら凛が叫ぶも、
瑠那はそれを鼻で笑いながら見ているだけだった。だが、そこに…!!
「…………システム、再起動………あまり、舐めないで欲しいわ……」
ふたつのマジックブースターを噴射した弓の『右腕』が、瑠那を捉える。
「うふ…やっと本気出してくれたのね、嬉しいわ…子猫ちゃん」
「……あいにく、アナタ程度に本気だすほど暇じゃないわ、雌犬。」
にやりと笑う瑠那に、事も無げに答える弓。
「ふふ…道具が使えるようになって、随分大きく出たわね? もう一度のたうち回りたいのかしら?」
「………喋るのは、好きじゃない…………。………悪い子には……オシオキが必要よね…」
互いに微笑を浮かべ、一歩も引かない姿勢…それと共に、「ミスティフォッグ」が消えていく。
「……………頼むぞ、凛」「うん!任せてよ!」
傷の痛みに震える膝に、力を込めながら翔真がニヤリと笑い、凛が力強く頷いて返す。
その次の数瞬…それで、決着をつける。その意図は、誰もが同じだった。
…だが、その時。
信じられない事態が、その場に起こるのである!!
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