【第13夜】
7800万キロの虚空
<PART−22>
取り戻したもの、見出したもの
では、ここで時間を少しばかり遡ろう…そう。
一同と別れた翔真には、まず成すべき事があったのだ。
翔真 >と言う訳で……また呼び出してしまうのかな?^^;
真琴 >了解〜、この間の公園です? こちらから呼び出すのも面白いですけどね(笑)
翔真 >公園でOKです(笑)実はそちらから呼び出して頂けると楽なんです^^;
真琴 >では、この間の公園に呼び出した、ということで^^
翔真 >では到着。「……済まない、待たせた様だな。」
真琴 >「いえ、今来た所ですよ(くす)」街灯に寄りかかって待ってます
翔真 >「なら良いが(苦笑)……俺に出来る事ならなんでも構わんぞ。」
真琴 >「お呼びだてしてすみませんね。少しばかり用事がありまして(くす)」
翔真 >「俺の方も、カッコ悪い内容だが頼みたい事も有ったのでな(苦笑)で……用事とは?」
真琴 >「さて・・・この子を、お願いしようかと思ってね(くす)」すっと月衣から天津大鋼の柄を取り出す
翔真 >「……………良いのか? と言うか……お見通しか?(苦笑)」
真琴 >「魔剣使いは魔剣と一心同体でしょう?(くす)」ほんの少し意地の悪い笑みをうかべて
翔真 >「色々な人間に同じ様に言われた………(^^;」
そう。天津大鋼を手放した事を、翔真は若葉を筆頭に数多くの仲間達から訝しがられ、
時には叱責を受け…師匠に至っては、声すら掛けてくれなくなってしまっていたのだった。
真琴 >「みんな、そう思ったって事でしょうに(くす)」
翔真 >「施術を解除しない限り、まぁ例え解除したとしても涼夜の細腕には少々重いかもとは思っていたしな(苦笑)」
真琴 >「まあ、ね。この腕でこの子は重過ぎる(くす)それに・・・『昔の私』は、この子を振るっていたとはいえ・・・決していい使い手ではなかったから(寂笑)」
翔真 >「………その辺りの後悔を晴らして欲しかったのさ。俺が渡した理由はそう言う事だ。」
真琴 >「私が前に出て行けるなら・・・まだよかったんだけどね」
翔真 >「無理するな、魔剣使いとしての力が戻っても正直怪しい所なのだから(^^;」
真琴 >「まあね、多分今の翔真君と私が戦うような感じだろうね・・・。得物の差は有るだろうけど」頷く
翔真 >「あぁ、それに………そらが無茶をし兼ねないんだ(苦笑)」
真琴 >「あの子は無茶をするから(苦笑)」
翔真 >「俺がそいつにしてやれる事は本当にもう無い、せいぜい天命が尽きるまで付き合うくらいだ。だが……俺はそいつの力を借りないと、今の戦いでは何も出来んお荷物である事は事実らしい(苦笑)」
真琴 >「・・・それは少しだけ・・・勘違いかもしれないよ?(微笑)」
翔真 >「俺としてもそんな事は無いと思ったのだがな……大抵はそう言う意味合いの事を言われた(苦笑)」
真琴 >「違うよ、翔真君が言っていたでしょうに。君の一族はずっと天津鋼の持ち主を待っていたって・・・」
翔真 >「正確には大鋼を使って病津鋼を倒す為の担い手を、と言うのが正しいだろう(苦笑)」
真琴 >「なるほどね・・・・・。それじゃあ、『昔の私』を斬った後、一体何人『鋼』を使える人がいたか知っている?」確認するように
翔真 >「いや……聞いた事も無い。」
真琴 >「そう・・・。つまり大鋼を使って病津鋼を倒す使い手をずっと待ちつづけた・・・・君が手に取るまでね(微笑)」
翔真 >「…………そうだったのか(フッ)」
真琴 >「それまで四百年も待ってた子を、渡しちゃうんだから・・・この子も悲しむよ(くす)」
翔真 >「他の者からならともかく、元の使い手である涼夜から言われると……流石に堪えるな(苦笑)俺はただ、黒鋼にも有ったであろう400年前の……天草に力を貸せなかった後悔を晴らして欲しかった……それだけなんだ。」
真琴 >「それなら、十分に力を貸してもらったよ・・・本当に・・・(微笑)」ほんの少し、遠くを見るような目で
翔真 >「そうか………(フッ)」目を細めて
真琴 >「『昔の私』そして今の私が使え無い分・・・存分に振るってあげて。それが私からのただ一つのお願い、だよ(くす)」ほんの少し寂しさを含んで、すぐに打ち消す
翔真 >「俺の数少ない親友であり……とびきりの美人からの頼みだ。そして俺が自ら望む事でも有る、受け賜っておくさ……(笑)」
その時、真琴の月衣の中にあった天津大鋼が…光を帯びた。
本来の、あるべき道を見出したかのように。
翔真 >「……鋼は、こんな俺に応えてくれたのか………なら、その幸運にもう少しあやからせて貰える様に頼もう。もう暫く、俺の我侭に付き合って欲しい。俺に力を貸して欲しいと……。」
真琴 >「では、我が帯剣黒鋼も・・・一緒によろしく。素直ないい剣(こ)だから」月衣から取り出して、震える両手でささえる
翔真 >「あぁ、お前の分も………黒鋼と、大鋼と、天津大鋼と共に力を尽くして行く。」
翔真は、天津大鋼を両手で受け取り…その柄を握り締める。
その時、神剣は…輝きと共に大きく虚空に響いた。
翔真 >「天津大鋼………もう暫く俺に力を貸してくれ。今度こそ、護りたい者達と、護るべきものを護り抜く為に……。」
真琴 >「・・・今も昔も、君を上手く使えないから、翔真君に力を貸してあげてね・・・」
翔真 >「有り難うな、涼夜……(笑)」天津大鋼を月衣に仕舞う。
真琴 >「な〜に、雨降って地固まる、というからね。離れる事で本当に必要な物が見える事もあるさね(くす)」
翔真 >「なるほど、確かにその通りだったな(苦笑)」
真琴 >「こちらこそ、久しぶりにこの子に会えて・・・うれしかったよ(微笑)」
翔真 >「……そうか、良かった(フッ)俺の要件の方も同じ事だったのでこれで解決した。涼夜は他に何か有るか?無ければ礼にお茶の一杯でも奢ろうかと思ったが………娘さんの方が心配かな?(笑)」
真琴 >「私の方も特には、ね(苦笑)しばらく家に篭りっきりだったから、しばらく外に出とけって、鳳先生に追い出されちゃったんだけどね(くす)」
翔真 >「そう言う事なら……一杯お付き合い頂けますか?」スッと手を差し出して(笑)
真琴 >「(くす)さて、それではお付き合いいたしましょう(くす)」悪戯っぽく微笑んで手を取る(笑)
翔真 >「有り難き幸せ(フッ)」軽く頭を下げながら騎士の礼の真似(笑)
さて、同じ頃。鋼地は、なおも暴れていた。
行き場のない、理不尽な怒りを胸に。
鋼地 >「……僕は……どうすればいい? 確かに『想い』があるはずなのに……どうして何もできない? 僕は……僕は……」
アドノレ >親切にもゾーンジェネレイターで人払いしちゃろうか?
翔真 >流石アドノレ(笑)
アドノレ >俺様は余計な介入をたくらんでるだけだ(^^;
鋼地 >「(ひとしきり泣き叫んだ後、不意に立ち上がって)……僕の『想い』……これで……見極める……(おもむろに構える)……我らの『想い』の名において……渦巻き立ち昇れ地龍!!(全力『ドラゴン・ファング』を自分にぶつける)」
アドノレ >では喰らってください。満身創痍の描写は任せた(笑)
鋼地 >「(己の一撃を受けて、自分の手を見る)……まだ……生きてるな…………まだ……終わりじゃ、ないんだよな…………そらさん……今は何の役にも立たないかもしれない……でも……いつか、必ず貴方の隣に立って見せる……貴方を……愛しているから。」
アドノレ >小さな奇跡発動 領域作成の強化拡大Ver・・・その時月匣が展開されたかのような違和感と頭上からの罵声
「くぉ〜の大たわけが!」
鋼地 >「……!? 『イシュマエル』!!(『イシュマエル』を準備)……って?」
アドノレ >見上げると頭上にはいつもとちょいと違う気配のアドノレが腕組して電柱の上(シャドーガードが風に舞う)
鋼地 >「……アドノレ……さん……(なんか……別れる前と……気配が違う……これは……あの時の……)」
アドノレ >「貴様の求める守護する為の力は敵を殲滅する為の力か」
鋼地 >「……僕の求める力は……僕の『想い』を貫くための力です……」
アドノレ >「ならば、破壊力の無さを嘆くのはお門違いだ。その上に今の術はなんだ。激昂のあまり暴走しかけておる」
鋼地 >「……僕は破壊力の無さを嘆いてるんじゃないです……」
アドノレ >「たった一杯の水で命運を繋いだ者もおる。わずかな遅刻で死から逃れ得なかった者がおる。何が幸いするか判らぬ世界において思いを貫くのに必要なのは力のみではあるまい」
鋼地 >「それに……今の術は自分自身に向けたものです……」
アドノレ >「ならばなおの事くだらぬ感傷よ。窮地において愛する者が己が身を守れたなら、己の無力さを嘆くよりまずは無事だった事が重要なのである。それぞれが異なる力を持ってるが故に寄り添う必要があるのであろう。」
鋼地 >「……そうかもしれません……ですが…………あの人の役に立ててないのも……事実なんです。」
アドノレ >「自分が守れぬ事が悔しいか。とんだ思い上がりだな。自分の力が全てに通用すると思っておるのか。また、力になれるから傍にいるのであって、無力なら傍にいる資格がないとかたわけた思いをしておらんだろうな」
鋼地 >「……せめてあの人と護りあえるような存在になりたい……あの人の隣で、共に戦って、共に生きて、共に『想い出』を紡ぎ合える存在になりたい……たとえ思い上がりでも……これだけは……ゆずりたくない……」
アドノレ >「解答を持っておるではないか。必要な時に傍にいることが重要なのであって、それまでの間に機会が無い事に癇癪するなぞ愚かな事だ」
鋼地 >「……でも……目の前で役に立てないことを痛感させられて……さらに目の前で他の男性があの人の役に立っているのを見せつけられたら……正直悔しいです。」
アドノレ >「相手に良い所を見せられぬ事を嘆く。気持ちはわからぬでは無いがなまだまだ精進が足りぬな」
鋼地 >「……なるべくなら……できるだけ沢山役に立ちたい……出来るだけあの人のそばにいたい……我侭だとはわかってるんですけど……」
アドノレ >「先ほど言ったであろう。この世界において何が幸いするか判らぬ。ならばお主が切り札になりえる可能性は常にあり、その時に傍らにあるべく務めるのが最良の選択・・・何にも換えがたく思うなら、誰の手を借りていても相手が生存してる事に感謝すべきものを」
鋼地 >「……そうですね……そう……なんですよね……(俯く)」
アドノレ >「そして、貴様は今何をしてた・・・精神の動揺が術に反映され暴走寸前であったわ。運が悪ければ絶命もあったところだ」
鋼地 >「……自分を確かめていました。自分の『想い』が……本物なのかを。」
アドノレ >「死してなお傍らにある秘術でも持ち合わせれるか。大馬鹿者め」
鋼地 >「……確かに……そうですね…………正直に言うと、自分の『想い』を、自分の『資格』を……疑っていました。」
アドノレ >「理解したようだな・・・己が疑う事なき程真実の思いなら確かめる必要すらない」
鋼地 >「……正直に言うと……何を理解できたのか……分からなかったりするんですが……僕の『想い』が……どんなことがあっても止められない『想い』であることは……再確認できました」
アドノレ >「他人の思いを拾い上げつづけ、己の思いを見失うなぞあまりに未熟だぞ」
鋼地 >「……ですね……反省します(苦笑)」
アドノレ≠ェ腕を一振りすると、鋼地の傷が消えていき服も再生されていく…
鋼地 >「(再生されていく自分を見て)……この力……すごいですね……ありがとうございます。」
アドノレ >「己が万能でない事を。それを理解すれば暴走する事もあるまい。足りぬ事を自覚し成長しながら傍に在る事ができる」
鋼地 >「……僕の中に、しっかりと刻んでおきます。」
アドノレ >「うむ」
鋼地 >「わざわざありがとうございます。……いろんな事を知られちゃって……正直恥ずかしいんですけど(苦笑)」
頷くとアドノレ≠ヘ空中に飛び上がり、そのまま掻き消えるかのように姿を消した・・・
結界は解かれ、世界は再び動き出す。
鋼地 >アドノレさんが掻き消えるのを最後まで見届けてから、一回大きく伸びをして「う〜ん……ふぅ。さて、気を取り直して……がんばらないとっ!」
アドノレ >(己を守るべき術を持たぬ者も守り、未だ鍛ざる者を鍛えるもまた我が務め)
鋼地 >では、結界が解かれたことを確認し、改めてアドノレさんがいた方向に一礼、魔法の修行を開始します。
意識を魔術に、そして大地に向けたところでとある事実に気づく…
「……?……これは……?」
そう、結界の中では大地の助力が鋼地と隔絶されていた。あの中で何かをしようとしても、
たぶん世界は従わなかった筈だ…
鋼地 >「…………これからもよろしくお願いします……アドノレさん……いえ、もう一人の……僕にも分からない……貴方へ。」
そして、その物陰で…当事者達に気づかれる事なく、一部始終を見届けたものがいた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
…彼らは一体、何者であるのだろうか…
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