【第13夜】
7800万キロの虚空

<PART−22>



虚空、渡りし『天意』



そして、夜・・・逢守神社裏手の山の中。
今日もまた稽古に明け暮れる神代 微のもとに、【そら】が姿を現していた。

微 >「こんにちは(にこっ)」
そら >「……何か、ありましたか…?」
微 >「あ、そら……ちょっと、ね(苦笑)」 剣を降ろして一休み
そら >「…………・(にこ)」何か言われるまでずっと立ってたり。
微 >「ここのところ、リカルドさんや遥さんとチームで動いているのは……知ってる?」
そら >「………・いえ…」
微 >「そっか……言わなくてごめんね?」
そら >「…………いいえ…理由は、あったのでしょうから気にしてはいけません。」
微 >「ちょっと気にする。ごめんね(にこっ)」
そら >「…………?」
微 >「そのチームで何度か……敵に遭遇してね。私だけどうも……あんまり役に立ててないように見えて(苦笑)」
そら >「…………」
微 >「白兵戦の技術では遥さんに敵わない、魔法ではリカルドさんや志信さんに追いつくべくもない。破壊力では雪枝さんに助けられて……と」
そら >「…………」
微 >「未熟だから、人より修行しないと。そう思わせられることが立て続けに起きちゃって、ね」
そら >「……それで、私は何をすればよいのでしょうか…?」
微 >「(ふるふる)好意はすごく嬉しい。けど……(一呼吸)私は、そらと一緒に闘いたいと思うし、そらに手を貸して欲しいとも思う。でも、そらに甘えることはできないから……だから、少し……やってみたいことをやっている、つもり(苦笑)」
そら >「…いえ、そうではありません」
微 >「……そうかな?」
そら >「私が呼ばれた以上、何か必要がある可能性が高いと判断しただけです…それを好意、というのでしょうか?」
微 >「私が何かお願いする前に……何かできるならしたい、と思ったのでしょう? それはきっと、好意だと思う」
そら >「……『欠片』を持つウィザードのサポートは、私の最優先行動目的ですから」
微 >「それだけ、だったの……?」 ちょっと悲しそうな表情を浮かべてみたり
そら >「……はい、それだけですが…私は何をすればよいでしょうか?」
微 >「……そっか」 ぽつんと それから少しして…… 「そらは……前に言っていたよね? 大地の力が、どうとか」

そら >「……はい。」
微 >「……あれは……普通の人、にもわかるものなのかな?」
そら >「…情報が不足しています…普通の人、とはイノセントのことですか?」
微 >「(苦笑)ごめん。ええとね、魔術師の人は魔力改変が出来るけど……私にもできるのかな、と。」
そら >「…………」
微 >「そらも知っていると思うけど……ガレオンと闘ったとき、私の『属性』が相手に有効だった。逆の事もあったけど、ね……」
そら >「…………それは、一体どういう事象を意味しますか…?」
微 >「うーんと……」 折れ枝を見つけて、地面に☆印を描き描き…… 「五行相関、って解る?」
そら >「…………よく、わかりません…」
微 >「五行相剋と五行相生の考え方をさして……」 簡単に説明中……
そら >「…………・(。。 )」
微 >「自然は、それぞれが孤立しているわけじゃない。お互いが関係を持ち合っている……そういう考え方を、『五行相関』って言うの」
そら >「………宇宙は…すべてでありひとつ…何故分けなければならないのか、私には解りません」
微 >「……そういう考え方もあるね……でも、実際は……人、ウィザードもだけど……自分の属性からは逃げられない。だから、参考として、自分の考えを纏める方法として……過去にある資料に目を通しておくのは、悪い事じゃないと思うよ?」
そら >「…………(・・)」
微 >「……この考え方が……人に応用できないかな、って。そうすれば……(当麻を手に持って)……魔剣に頼らず、自分の力で、少しだけ……敵と戦う力が得られる、そう考えたんだ」
そら >「…それで、私は何をすればいいのでしょうか…?」
微 >「教えてくれる? 大地の力や……自然の力を、感じる方法を。私が守りたい、この世界を……」 ちょっと沈黙、表現を選んで 「そらと、護りあう者どうしになったように、この世界と護りあう者どうしになるために」
そら >「…………・わたしにできるのは…」
微 >「私が守りたい、この世界を……もっと、身近に、感じるために。それが私の、力になると思うから」
そら >「………もう一度…試しますか?」
微 >「……試すって……あれを?」 さすがにびっくり
そら >「………(こくり)」
微 >「……」 第二外伝のことをちょっと思い出し 「……今日は大丈夫?周辺に敵の存在などは、感じられない?」
そら >「……索敵開始……エミュレイターの活動、なし」
微 >(きっ、と鋭い表情になって)「……うん、敵に見つかるような事がないなら……お願い、そら」
そら >「わかりました…オーヴァーリンク…!!」
微 >@内心「(……何か……感じ取ってみせる。そらがああいうなら、ヒントがあるはず……!)」

碧色の閃光と共に、すべてがひとつとなり…視界が晴れていく。
そこは…驚くべき事に、宇宙空間であった!

微 >@内心「(う、宇宙……? だって、今……)」 驚きつつ、冷静に周囲を見回し

眼下には、人類が生きる青い星…地球。

そら >「少し、驚かせたか…?」
微 >「(……この口調は……)うん、ちょっと驚いた(苦笑)あれが、地球?」
そら >「そう……私が現在、《滞在》している場所。」
微 >「滞在……?」
そら >「時間にして、おおよそ100年……・」
微 >「……あなたは……どうして、地球に?」 思わず口に出してから 「ごめん。それはまた別の話だよね」
そら >「……けれども、この場所は…全体から見れば、ほんの小さなひとかけらに過ぎない…」

微 >「……ほんの小さな、ひとかけら……」 周囲を見回し 「……どこまで、続くのかな……?」
そら >「………・どこまでも、続いていると考える…?」
微 >「そう、見える……ここからだと」
そら >「…けれども、この宇宙もまた小さな世界…無数にして、ひとつのもの。だから…生命にとっては、途方もなく大きく見える…」
微 >「……無数にして、ひとつのもの……終わらない流れ……『現在』と言う一瞬、みたいだね……人よりも長く続く……時間のように……どこまでも再現がなく見える」
そら >「……そう…その果てから、《私》は来た…」
微 >「果てから……あなたは……?」
そら >「……既に無意味な質問とも考えられるけれど…《天意虚空》…人の言葉で強いて現せば、そういう意味」
微 >「…………!」 さすがに驚きつつ、納得したように頷き 「……この地においでくださったことに、感謝いたします……人身にして、貴方と共にあるは……あるいは不遜かもしれませんが……共に在る事をうれしく思います」
そら >「恐れてはいけない………私は、意味にして無意味…この宇宙にある生命の意思が、私の存在を意義付ける…その結果、今私は生命を守護するものたちの力となり…ここに在る。それだけのこと」
微 >(一つ首を振って)「最高天にありて……この世界を見つめし者よ……私に……この終わりなき世界の力を、感じ取る術を、力を……お教えください」
そら >「…………力は既にある…何ゆえに、力を求める…?」
微 >「私もまた、今を、命を守護する一人として……あなたの力を望みます。それは、あるいはただの理想かもしれません。でも、私はその理想を……大切にしたい。人の悲しみや、苦しみを……一つでも、減らしたい。そのために」
そら >「…………(じっと見つめて)」
微 >「……我が心の剣は、我が欲望のためにあらず……戦う力を持つものとして、戦えない人を守る力を。人々の、『幸せ』を守るため力を……私は、欲します」
そら >「………・・資格は充分にあると考える…問題は、思索が資格の前に立っていること…」
微 >「……資格?……考えすぎ、と言う事でしょうか?」 微妙に苦笑を禁じえないと言う表情で
そら >「……卵を雛に孵そうとする時、人の手で割る必要があるだろうか……花が芽吹く時、人の手で引き出す必要があるだろうか…」
微 >「……望みすぎれば……しかし……」 少し沈黙 「時を待て、と?」
そら >「……時は全てを解き明かす…自ら気に留めることはないが。そして、秘められた事象は永遠ではない…」
微 >「……待つこともまた、必要だ、という……事ですね」 一息入れて 「……失礼いたしました。どうも……置いていかれているような気がしたので」
そら >「……ならば、何故そう感じたかを考えれば、私の言葉の意味は…もう理解できたはず」
微 >「……己を磨く努力を怠ろうとは、思いません。ですが……」 一呼吸 「待てぬこともまた未熟……それをいま、実感しました」
そら >「すべての存在は、世界に存在すべき理由を持つ…それゆえの、今の私。そして問題は…すべてにおいて、いまだ時が満ちていないこと」
微 >「……その、『時』は……まだ遠いのでしょうか?」
そら >「……実感したなら何故、なおも求める…?」
微 >「(苦笑)その通りですね……失礼いたしました。私と、私の信じる友人にも、そのように伝えます。『時は、まだ』と」
そら >「ならばひとつ教えよう…その双刀は単なる武器にあらず、導きの鍵なり…時が来るまで手放してはならない」
微 >「……当麻……いえ、『退魔』と『討魔』が?」
そら >「そう…しかるべく者の手に委ねられたからこそ、その牙は引き抜かれた…牙を磨き上げ、時に備えておくといい…そして…思索で感覚を阻んではならない。生命の本質は感覚にあり…」
微 >「お教え、ありがとうございました……心いたします。いつか……『牙』の本当の力を使う時に……迷わず、己の真実へ」
そら >「………・・それでいい…資格あるものよ、自然を感じよ…森羅万象を、宇宙を感じよ…そこに答えがある…」
微 >「生命の本質は……感覚に……(少し考え込み、首振って)考えるより、感じます(苦笑)」
そら >「…………・・(ふっと口調が変わって)悩んだら、負けだからね?(くす)」
微 >「(ちょっと驚き)……解った、気をつける(にこっ)」

そのやりとりの直後、周囲は再び碧色の輝きに包まれ…

「……ありがとう……」

次の瞬間、微は元の場所に立っていた。

そら >「……オーヴァーリンク=アウト…セパレーション、コンプリート」
微 >「……戻った……といえば、いいのかな?……っと……ありがとう、そら……(にこっ)」
そら >「……何か、ありましたか…?」
微 >「うーん……いろいろ、かな(苦笑)。立ち話すると長くなるから、戻ってから話すね」
そら >「……? わたしは…出来る事をしただけですが…」
微 >「できる事をしてくれるのが、嬉しいから(にこっ)」
そら >「……………(真顔でなでなで)」(ぁ
微 >ちょっとびっくり……少し困ったような顔で、おとなしく撫でられ(笑)「って、そら、あれからどのくらい時間経った?」
そら >「…それほどでもありません。」
微 >「それならよかった(ほっ)」
そら >「何か、困ったことがありますか…?」
微 >「あんまり遅くなっても、ね。心配しちゃう人がいるから」
そら >「……私なら、この後の動作も問題はありませんが…」
微 >「……二本が決して離れる事が出来ない魔剣……退魔と討魔……か」
そら >「…………・・??」
微 >「……そらにも話してなかったね。私の魔剣は……(以下説明省略)っていう、ちょっと変わった魔剣なの」
そら >「………だいじょうぶ、それが自然なら…変わってなどいないです(にこ)」
微 >「かも、ね(にっこり)……今日は修行はここまでにしようかな。夕食のお買い物に行こうと思うんだけど、付き合ってくれる?」
そら >「わたしは構いません…」
微 >「ありがと(にこっ)何か食べたいものってある?」
そら >「…………・・微は、ありますか?」
微 >「たまには、そらにスパゲッティでも作ってもらおうかな……教えてくれる?」
そら >「…はい。【沙弥】に教えてもらったとおりのものでよかったら…(にこ)」
微 >「ありがと(にこっ)。じゃ、買い物行こうか?」
そら >「…・・はい(にこ)」
微 >大きく伸びをして…… 「自然を、感じよ、か……」
そら >「……………・・(ぎゅー)」
微 >「って、わわっ!?」
そら >「…………………・不意打ち…」
微 >「こ、こら、もぉ、危ないでしょ?(苦笑)」
そら >「…………大丈夫…転倒しない突入角、速度を計算して実行しました(にこ)」
微 >「……(そういう計算しないでほしいなぁ……(^^;))じゃ、ともかく、行こう(にっこり)」
そら >「……・・はいっ(にこ)」

…ともあれ、宇宙から地球を揺るがした大事件は終結した。
ディングレイ、ラゴウ…星間宇宙の魔王たちの策謀は、ウィザード達によって阻まれたのである。
だが、その間にも…新たな陰謀は進んでいたのだ。

地球…南の海。その深淵で、何かが起きようとしていた…。

凛 >南海の孤島篇?
弓 >今度はやつかああああああああああああ…つか、あのシナリオに出てきた魔王全部出す気かー!?
翔真 >一体何が(汗)
弓 >具体的には南緯47度9分,西経126度43分ッ(笑)
アドノレ >それは違う(笑)
弓 >え?いや、あのシナリオに出てきた魔王なら、これであってるよ(笑)<具体的には
アドノレ >にゃに、クト様はNW世界にも出張ってたのか
弓 >深海魔王ルルイエだったかな(笑)
翔真 >ハイアイアイ島かビキニ諸島ぐらいしか南の海のイメージが(笑)
ジョニー >むむ! 南海編ということは…次のゲストは?!
GM >うふふふふ(笑)

という訳で…戦いは、なおも続くッ!!

彼が勝利の鍵だ…!?
獅子王 凪


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