【第14夜】
深海に詠う声

<YUMI’S CHAPTER/PART−1>



進化への道標



・・・時は遡って、半月ほど前。
弓が、怜たち「TRUTH」チームと会見した、その直後のことである。

弓 >いても立っても居られずに、とりあえずアメリカまでばさばさ〜っ!
GM >うむ、到着到着・・・前回からしてニューヨークかな?(笑)
弓 >さて…着いたはいいけど…広いね、アメリカ(ぽつーん)
GM >・・・しかし、問題がひとつ・・・基本的にアンブラ、事業所を明らかにしないからドクを呼び出さなければならない(笑)
弓 >でも、電話するの怖い(笑)
GM >しかし、このままでも問題なような(笑)
弓 >とりあえず…「………………(無言で0−Phone取り出して…番号をプッシュするも、5ケタ目あたりで指が止まる(笑))」
GM >指を動かしながら逡巡する・・・それはなぜか。もしかしたら、この電話をする事によって、引き返せないどこかに足を踏み入れることになるのではないかという漠然とした不安?からか・・・?
弓 >「…………………やっぱり…やめた。」ばさ、と翼を大きく羽ばたかせて針路変更…マイアミへ(爆)
GM >うむ、初夏のマイアミ・・・といえば、昨年修学旅行で訪れた時のままだ。だが、あの時は漠然としていた疑念は、いまや明確なものとなって目の前に立ちはだかっている。問題は・・・それを越えるか、否か。
弓 >みゅうう、なんかどんどんシリアスに(笑)
GM >うむ、なにしろこれまで疑問にすら思っていなかった事に足を踏み入れているのだから当然当然(笑)
弓 >とりあえず、第8夜で訪れた研究所まで行って見る…
GM >ごく普通の「強化人間」であるならば、いかなる疑念であれ、その答えを出すのは造作もないことだろう。しかし・・・この迷いは何だろうか。目的地に近づくにつれ、それは・・・大きくなっていくように思われてならない・・・
弓 >別に今でも疑問に思ってるかどうかは…(笑)
GM >けれども、足を踏み入れてしまったのは事実。だからこそ、ここにいる・・・となる訳で(笑)

連邦遺伝子工学研究所・・・現在、米軍による最重要警戒態勢の下にあるようで、
米陸軍所属と思われる歩哨が周囲を警戒している・・・。

弓 >うわ、やだなぁ…(><)…でもしかたないや。ちょっと離れた場所に下りて…それから徒歩で聞きに行こう。「………Excuse Me…」とりあえず、エルツフェルズ氏がここに居るかたずねてみやう
歩哨 >「ここは連邦政府の決定で、最重要警戒態勢をとっている・・・内部の事は教えられない」(字幕でお送りしております・笑)
弓 >「私は彼の知り合いだ。…身分証明書ならここに。…彼がここにいるかどうかだけでいい、教えて欲しい。」
歩哨 >「・・・・・・・・・・・・今照会する(内部に向かって通信を開始)・・・・・・(10数分後)・・・・・・ドクトル=エルツフェルズがお会いになるそうだ。これが入場許可証と、面会許可証になる・・・念のためボディーチェックもさせてもらう(ラミネートされたカードを渡す)」
弓 >「…ありがとう。…武器の類は持ってないよ…。」素直にボディチェック受けておく〜。
GM >・・・まあ、「右腕」を変形させなければ、武器なんて持ってないし問題ないんだけど・・・米軍管轄の施設に入るのってここまでややこしーのよ(笑)
弓 >ややこしいよねぇ(笑)
GM >ボディーチェックの後・・・見覚えのある殺風景なコンクリートの回廊を、兵士の監視つきで進んでいく。
弓 >とりあえず、ここに来るまで傘もささずに来たので、ずぶぬれ希望(笑)
GM >OKOK(笑)そして、ドクがいるであろう研究室の前・・・兵士が扉をノックすると、聞こえてきたのは懐かしい声。
??? >「・・・・・・・入りなさい」
弓 >その声に、思わずびくっと(笑)
GM >扉を開けるか開けないか、それが問題だ!?(笑)
弓 >おずおず…と手を出して、そっとあける〜

扉を開けると、そこには懐かしい顔があった・・・思えば、もう随分「彼」には会っていない・・・
その机上にあるパソコンのディスプレイには、見たこともない新型箒の設計図のようなものが表示されていた。

GM >ドクは今、弓に背中を向けて・・・机上の書類を整理しているところのようだ。
弓 >「………………………………ドク………」いろんな感情ごちゃまぜで、ちょっぴり頭ぱにっくちう(笑)他に言葉が出てこない
『ドク』 >「あなたの側から来るとは珍しいですね・・・見てのとおり、私は新作の追い込み中ですよ・・・・・・・・・・・あるいは、来てしまった、のでしょうかね・・・・・・・
弓 >「……………ごめん…なさ…い…」
『ドク』 >「・・・・・・何を謝るのです? あなた自身が必要になったから来たのでしょう? それとも・・・あなたが今ここにいる事が、あなた自身の存在理由に反しているから・・・でしょうか?」
弓 >「……どうしても…声が聞きたくて…姿が見たくて……………話が……したくて……」
『ドク』 >「それは解っています・・・私にとっての問題は、その内容ですがね・・・」
弓 >「…………教えて欲しいの…。………私は……………何?………貴方は…………………………誰…?…」(ぽつ、ぽつと…雨にぬれた髪から、雫が頬を伝い落ちる…雨か、それとも…もしかしたら…)
『ドク』 >「・・・・・・・・・・これは奇妙な事を聞くものです。あなたは絶滅社の強化人間『蒼魔 弓』・・・その行動目的は、エミュレイター・・・『敵』の抹殺。そして、私はあなたの主任技師、ドクトル・ルドルフ=エルツフェルズ…それ以上でもそれ以下でもないでしょう?」
弓 >「……そうじゃないの!…そうじゃなくて……何故…私なの?…この右腕は……どうして…私と一緒にあるの?」
『ドク』 >「その『右腕』こそは、あなたの戦うための武器・・・敵を斃すための道具。あなたが、あなたとして生きるためのもの・・・それ以外に、何かあるというのですか?」
弓 >「それだけじゃ…ないでしょ?……これ…この腕は…元は…………」
『ドク』 >「・・・・・・・・・・なぜ、それを求めるのですか。それを求めるという事が、あなたにとって何を意味するか・・・解っていますか?」

眼鏡の縁を上げて、ドクは語る・・・どことなく冷徹に、何かを宣告するかのように。

弓 >「………わからない……わからないの…。……だから………私は……始めて今……敵以外のものを…「怖い」と思ってるの…」
『ドク』 >「強化人間『蒼魔 弓』・・・いえ。もしかしたら、あなたの挙動は・・・・・・」ここで、しばしの沈黙と思索。
弓 >「…………………………?」
『ドク』 >「今のあなたの、その挙動は・・・(改めて向き直り)・・・あなたは、あなた自身の今の感情を、確かなものと認められますか?」
弓 >「……わからないけど……たぶん…(こく、と頷いて)」
『ドク』 >「そして・・・何故、そうであるか。それが・・・あなたが今感じている『恐怖』の根にあるものと、私は思うのですよ・・・」
弓 >「……私は…完全に壊れてしまったの?……もう……戦えない…?」
『ドク』 >「(何を今更、という顔で)完全に壊れたのなら、あなたは既にここにはいないはず・・・と答えておきましょう。」
弓 >「…………よかった…(少し安心したように)……。…それでも………私は知りたいの。…そして……確かめたい……」
『ドク』 >「・・・・・・・・真実を知ってしまったら、もう後戻りはできません。今までの常識が、すべて覆され・・・あなたはもはや今までの『蒼魔 弓』ではいられなくなってしまうかも知れません。二度と、こうして私と話をする事もなくなるかも・・・あるいは、これまでの戦いの意味を考える、という事を止められなくなるか・・・それでも、よいのですね?」
弓 >「………………(こくっとしっかりと頷いて)…だいじょうぶ…」
『ドク』 >「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今更ながらですが、私はあなたまでも失いたくはないのですよ・・・・・・・・・・・・・・・・・『アズラエル』のように」
弓 >「…………ん…………(もう一度、頷いて)………」
『ドク』 >「・・・よろしい(答えを聞き、改まった面持ちに)・・・実は、私は知っていたのですよ・・・あなたに、今日という日、今という瞬間が来る事を・・・」
弓 >「………………」

「【そら】という少女との邂逅、そして・・・彼女との共闘が、あなたの精神・肉体に影響を与え・・・
あなたは『それまでとは違う何か』に進化しようとしています」

「それは、正直私の想定外でした・・・『右腕』の出自は私も知っていましたが、
まさかここまでの影響を・・・専用に調整された『強化人間』にまで進化を促すとは・・・」

弓 >「……………少し、安心…。……」
『ドク』 >「・・・ともあれ。あなたがウィザードとして、強化人間を超えた次の段階に達しつつある事は間違いありません。しかし、そのためには・・・あなたが自らの、真実の過去を見出し・・・それと向き合わなければなりません」
弓 >「………………………真実の…過去…?」
『ドク』 >「『大戦』において、本当は何があったのか・・・何が真実なのかを」

ドクは、机の引き出しを開けると・・・厳重にロックされた箱を取り出す。

『ドク』 >「・・・・・・・・この中には、『右腕』のスロット専用に設計されたマイクロチップが入っています。そこに記録されたプログラムは、あなたの『操作された記憶』を修正し、本来の記憶を引き出すでしょう・・・ただし、このチップを使用するかどうか。それは、あなたの判断に委ねようと私は思います。」
弓 >「…………………………………え……」
『ドク』 >「あなたには、既に『心』があるからです・・・おおいに迷いなさい。」
弓 >「…………(ふるふる、と首を振って)…いいの…この記憶、この痛みは…私にとってホンモノだから……。…だから……ホントウのキオクなんて、いらない。」
『ドク』 >「・・・・・・その中に、あなたの求める答えがあったとしても・・・?」
弓 >「私にとって、何が真実の過去で、何が偽物の過去なのか……それは、私が決めるの。…それでも、いいんでしょう?(ちょっとだけ、微笑して)」
『ドク』 >「・・・・・・・・・・・(少しだけ、苦笑にも似た笑みを浮かべる)」
弓 >「…だいじょうぶ…。……私は…変わらない。…ううん…変わっても…私が蒼魔 弓であることは、絶対に変わらない…。…だから………だいじょうぶ。」
『ドク』 >「・・・・・・・その決断もまた・・・『心』のなした事・・・・・・歴史は繰り返す、か(苦笑)・・・・・・とにかく、これは持っておいて下さい。必要になるかもしれませんからね」
弓 >「…うん…(そっと受け取って、月衣にしまいこみ)…。……見るのが……怖いのも…………ほんの少しだけ、ある…」
『ドク』 >「・・・・・・あなた自身の決断を信じなさい・・・あなた自身が、そう言ったのですからね(微笑)」
弓 >「…ん…。……あと……もう1つ………聞かなきゃ…」
『ドク』 >「・・・・・・・・・・・・・・何でしょう・・・?」
弓 >「……ドクは……敵じゃない…よね……。(俯いて)」
『ドク』 >「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そのチップを渡した今、私の口からそれを語る事は出来ません・・・すべては、あなたの選択のままに。」
弓 >「………ずるい……先に、渡すなんて。…ドクは………カーオス公爵かもしれないけど……敵じゃないんだよね?……(うりゅりゅ、と泣くぞ!と言わんばかりに)」
『ドク』 >「それを決めるのも・・・・・・・・・・・あなたです(微笑)」
弓 >「………………………………私が決めていいの?」
『ドク』 >「迷うことは、罪ではありません。むしろ迷うことで、『心』の使い方を学ぶのです・・・あなたは既に、多くを学んだはず。目の前の真実に苦しみ、悩み、考え、その末に決断した結果こそが最も価値あるものと、私は思います・・・たとえそれが、どのようなものであったとしても」
弓 >「…………………わかった……(ちょっとすねたように)」
『ドク』 >「・・・・・・・・・・・・・私は今、真実を受け取った後・・・これからのあなたがどうなるか。その事に、おおいに興味があるのです・・・科学者としても、私個人としても」
弓 >「………どうなるのかな?………ドクは、どうなると思う?」
『ドク』 >「・・・・・・ここにいる私は、あくまで科学者。予言者ではありませんよ・・・(笑)」
弓 >「…(ぷー、といよいよ拗ねる)…いつも、肝心なことは教えてくれないのね。」
『ドク』 >「・・・・・・・・・・・・人の身では教えられない事もあります(笑)それに、肝心の鍵はあなた自身がもう握っているではありませんか・・・その鍵を、活かすも殺すもあなた次第・・・それが、あなたの選んだ道なのですからね。」
弓 >「……1人で見るのは怖いから………確かめるとしても、後でにする。」
『ドク』 >「よろしい、それもまた選択です・・・

弓には、目の前のドクの微笑が・・・どこか、別の意味を持っているように思えた。
なぜかは、いっこうに解らないが・・・

あるいは、ドクはこの時初めて、本心からの笑みを浮かべたのかもしれない・・・。

弓 >「………お仕事の邪魔して、ごめんなさい(ぺこっ)。………とりあえず…安心したから…(^^)」
『ドク』 >「そうですか・・・よかった。これで、私も新型の追い込みに取り掛かれます」
弓 >「……………新型?………(ちょっとわくわく)」
『ドク』 >「・・・もしかしたら、必要になるかもしれませんし、そうでないかも知れません・・・エンジェルシードの拡大改良型ですよ」ぶっちゃけエンジェルシードの性能劣化対策(笑)
弓 >「…へえ。…見てみたい、な。」なるほど(^^;
『ドク』 >「・・・まだ現物はバラバラですよ(苦笑)完成すれば・・・完成したら、一番にお知らせしましょう(微笑)」
弓 >「…うん、約束…(こく、と頷いて)」
『ドク』 >「・・・今度こそ、『ユグドラシル』を超えるとまではいかずとも、同じくらいに強力な箒を造り上げて見せますよ」
弓 >「楽しみにしてるから…。…でも、無理はしないで。」
『ドク』 >「・・・・・・ふふ・・・あなたが私を気遣うとは。これも、彼女のおかげなのですね・・・」
弓 >「……………(///)……。…………………でも……私……弱くなって…ないかな…。…」
『ドク』 >「それも、あなた自身が確かめることのひとつですよ。焦らず、ゆっくり、時間をかけて・・・もうあなたに『枷』はないのですから(笑)」
弓 >「……………課題がいっぱい…。…久しぶりに、訓練時代に戻った気分…」
『ドク』 >「・・・・・・・・・新鮮でしょう? だから、人生は面白いのですよ・・・」
弓 >「…そうなのかも、しれない。」
『ドク』 >「・・・そんな面白い人生を、これからは満喫していきなさい・・・(笑)」
弓 >「…ん…(こくっと頷いて……歩哨の兵もいないので、改めて月衣からねこみみ出して着け直して(笑))……それじゃあ…私、帰る…(てくてく、と窓に(笑))」
『ドク』 >「・・・・・・・・・気をつけて・・・」窓を開けてあげよう(笑)
弓 >「…うん。………また…(とん、と窓縁を蹴って舞い上がり、いったん静止して)」
『ドク』 >その姿を、部屋からずっと見ている・・・「・・・・・・・・・『あの娘』は・・・こうなる事を、知っていたのかも知れませんね・・・遠い時間の向こうから・・・・・・(呟)」
弓 >「(名残惜しそうに振り返り、そのままバックでゆっくりと上空へ)」

かくして・・・米国を後にした弓。その手には、『ドク』から託されたマイクロチップがあった・・・

弓 >とゆうわけで、帰り道の途中…「…………………………やっぱり…いらない、かな。(チップ取り出して)」
GM >では、ここでまたドクの言葉が記憶にリフレイン(笑)
弓 >「………(ぎゅ、と1回握って、しばらく悩んだあと…おもむろにチップを、ぽいっと遠くへ投げる)」そう…ちょうど、あの海域付近で(爆)
GM >おぉ?そう来たかぁ(笑)
弓 >注)良い子のみんなは、海にゴミを捨てないように!!!

かくして、どこか釈然としない気持ちのまま、
マーシャル諸島の海にマイクロチップを投げ捨てた弓は帰国の途につく。
だが・・・動き出した運命は、既に覆す事の出来ない力をもって、再び彼女の前に現れるのだ…。


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