【第15夜】
第二次・大魔王作戦
<PART−04>
幕間・悪の挙動
ウィザード達が、MonAmiへ帰り着いた頃。
ホテル=ユニバーサル横須賀に隠された、『蠅の大神官』クラウス=フライのアジトでは…
「さて……あれは一体、どういう事でしょうか?」
3人のピコハン少女の1人・ユキネレーゼが、目の前に立つローブ姿の人影を問い詰めていた。
「その通りっ!あやうく爆殺されちゃうところだったのだ〜★」
「……納得のいく説明を、要求する…」
ネムトルテ、ネオンロットも左右から詰め寄る。と、ローブ姿は声を発した。
「……説明も何も。単に諸君が、ターゲットに近づきすぎただけの事だよ。
それに、あの程度の爆発に巻き込まれるような諸君でもあるまい?」
「新機軸童謡怪人を、1体失った……自信作」
「ジローやN2でもあるまいに、この段階で潰えるようならば
戦力として期待すること自体、最初から無理だったという訳だな」
ネオンロットの抗議を、ローブ姿の男はあっさり切り返す。
「こいつ…手を組んでやったと思ったらいい気になって、マジムカつくのだ〜★」
ネムトルテが動こうとするが…その足が一歩j踏み出す前にユキネレーゼに制止される。
「よしなさい、ネムトルテ…」
ローブ姿の背後には、黒いゴスロリ服を着た人影が、いつの間にか立っていた。
…先に杏音を狙撃した、弓と瓜二つの顔をした戦士である。
「そうそう、それが賢明だな…さもなくば諸君もアンネリーゼの二の舞を踏む事になる」
口元に笑みを浮かべながら、男は続ける。
「という訳で…諸君らにはこれからアンネリーゼの生死を確認してもらう。」
「いいでしょう…ただし、今回みたいな事になるなら、こちらにも考えがありますわ」
「安心したまえ。これで最後の依頼だ…ただし、条件がある。」
「…………条件……?」
「アンネリーゼの生存を確認しても、勝手に手を出さない事。それだけだ」
数瞬の沈黙の後…ユキネレーゼは微笑んで言った。
「いいでしょう。最後の依頼、引き受けますわ」
そして、予断を許さぬ雰囲気を漂わせたまま、3人はその場を離れていく。
◆ ◆ ◆
「……それにしても、なんであんなのなんかに手を貸したのだ〜?」
「私たちの行動目的を考えるに、それが最も論理的だったからですわ…」
ややあって、ユキネレーゼは言葉を続けた。
「……もっとも、これ以上あの『蠅の大神官』に、付き合って差し上げる道理もないですけれども。
…ネオンロット、怪人はまだ残っていますの?」
ユキネレーゼは、傍らのネオンロットに問いかける。
「……今回のの予備を持ってきてる…心配ない。ぶい」
「そう…では早速送り出しましょう。わたくし達は、今後高みの見物ですわ」
◆ ◆ ◆
「……で。あんな連中、信用できるの?」傍らに現れた瑠那に、クラウスは返す。
「信用?誰が…私がかね。ハ!連中は所詮捨て駒よ…これから始まる一大作戦のな」
「…結局、ジョシュアの穴埋め程度って訳? あっきれたぁ」
「そう言うな。今回アンネリーゼをメインターゲットとしている以上、連中は私に協力するしかないのだ。
そして…事かなった後はアンネリーゼ諸共、魔王様の贄とすればいい」
「…でも、連中にはアジトだって知られちゃってるじゃない?
これじゃあテキに知れるのも時間の問題よ…どーすんのよ」
「それも手は打ってある…まあ、見ていたまえ」
仮面の下の顔が、完成間近な横須賀ベイタワーを睨み、悪辣に笑う。
その傍らには…もうひとりの弓が、無表情のまま佇んでいた。
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