【第20夜】
横須賀の最も長い夜
<PART−25>
訣別の刻
その頃、現実の世界…弓は、強化された身体能力を珍しい方向に使っていた。
司の助けもあり、精密機械の調整は予想外に順調に進む。
その間に、沙弥のステータスチェックをした鋼地は、驚くべき内容に直面していた。
『杉崎沙弥 GL∞+(勇者) 現在のプラーナ内包値…5』
翔真 >0レベルを下回っておる(・・;
GM >つまり、次に生命機能が停止すれば確実に・・・だ。それでも、アドノレの助けがなければここまではこられなかっただろう。
鋼地 >「……現状の残りプラーナは新米ウィザードの約半分だ……」
弓 >「…………………」
司 >「一発勝負、ですか」
鋼地 >「……『イサーク』、『イシュマエル』。計測は続けといてくれ。『イシュマエル』は微妙に調子悪いかもだが見逃すなよ?」
(ブラックボックスなくなってるから)
レオン博士 >「ふぅむ。さて、転送機の準備はできたようじゃ。これから作業を始めるぞい」
その時、弓の0−Phoneが鳴った。
弓 >「……………もしもし?」
翔真 >「相羽だ、沙弥嬢とマキ嬢はどうなった?」
弓 >「マキはまだ素体がないから……いま、さやを緊急移植するところ………祈ってて。」
翔真 >「そうか……もう一つ、まだおやっさんから……ユグドラシルの担い手達についての連絡は来ていないか?」
弓 >「………きてないみたいだけど…っと、ごめん、始まる…!」
レオン博士がスイッチを入れたのは、その時だった。
翔真 >「解った、二人を頼む。」
一方、インナースペースでは…
翔真が0−Phoneを切ったその時、ディーが口を開いた。
ディー >「では・・・残る『断片』の機能を回収させてもらうぞ」
翔真 >「止めればもう少し待ってくれるとでも言うのか?(苦笑)」
ディー >「(後ろ向いたまま)・・・そんな義務が俺にあると思うのか」
翔真 >「義務等有るまいよ、聞き届けるかどうかはお前の人間性次第、と言うやつだろう(フッ)」
アドノレ >「どうするつもりなのだ?」>翔真
翔真 >「『天意虚空』の力を使ったそらは横須賀を、完全な形で無いにせよ再生させただろう?」
アドノレ >「ふむ」
翔真 >「数人分の素体なり、存在力の補填、是正などわりと簡単なんじゃないかと思ってな(フッ)」
アドノレ >「あまり近づき過ぎても誤解を招く恐れがある。取引するつもりなら相手の機嫌を損ねるのは得策ではない」
GM >特に何もしていなければ、ディーはこのまま『大樹』に入るけれど・・・何かしておく?
翔真 >肩に手を置いて止めてみます。
アドノレ >止めない。ディーだけでなく翔真の様子も伺う為にワンテンポずれます
ディー >「・・・・・・もう、用はないはずだろう。それとも、邪魔をしているとみなしていいのか」
翔真 >「出来る出来ないはともかく、魔王や裏界を滅ぼす前に一仕事頼みたいのだが…」
ディー >「・・・全部聞こえていた。だが、マリキュレイターの身体を用意するのは出来ない相談だな」
翔真 >「理由は?物理的に”出来ない”のか、それとも単にお前が”やりたくない”のか。どうせ『天意虚空』になるのなら、破壊以外の力を使う事も出来なくは有るまい?」
ディー >「・・・ヤツがこの世界にした事を考えれば、答えは明らかだろう。」
翔真 >「マキを危険視するのは解る。だがそれでも用意しておくのとそうでないのでは彼女を説得するに当っての誠意の見せ方が違ってくる。」
ディー >「どこまでもおめでたい事を言う。まさか、ヤツが本気で悔い改めたとか考えているか?」
翔真 >「自分の手が血に染まってない等、お前も今更言うつもりはあるまい?過程がどうであれ、誰もが誰かを犠牲にしている。償いは償い、生きようとする事はまた別のものだ。何かにぶつかり合うまでは、誰にもその権利は等しく有る。」
ディー >「もしこの世界で『大戦』が起こっていなかったら、それでも良かったろうな。だが・・・お前は甘すぎる。たやすく他者を信じすぎる。そしてそれがいつか・・・命取りになるだろう」
翔真 >「『天意虚空』になって魔王を裏界ごと滅ぼそうと言うやつが随分とつまらない、小さな事を口にする。」
ディー >「・・・ヤツはマリキュレイター、同じく『天意虚空』の力を操るもの。そして、ヤツはいまだその力を手放していない・・・」
翔真 >「『天意虚空』の力は最後にマリキュレイターすら内包した上で世界を滅ぼしたんだ。その力を手に入れるのに何を恐れる?恐れていないと言うなら、何故少女一人の生き死にに拘る?」
ディー >「見当違いの話だな。ヤツは少女などではない…敵だ。俺達は『戦争』をしているんだ」
翔真 >「そんな物言いをする時点で、『戦争』なんて言葉を口にしている時点でお前は何処までも人間だよ。『天意虚空』などではない(フン)」
ディー >「時間稼ぎの次は挑発か。どこまでも姑息なヤツだ・・・」
翔真 >「そんな詰まらん事を考えているとでも思ってたのか(フン)」
ディー >「少なくとも交渉をしようという者の態度ではないな。俺を怒らせれば思い通りになるとでも思ったか」
翔真 >「本当に問題になるならさっきお前がマキ嬢をそのまま行かすものか、行動が矛盾しているぞ…同じ力を使うものでも『断片』を全て手に入れることで優るとでも踏んでいるんじゃないのか?」
ディー >「愚問だな。今までは聴いてやっていたが、もう充分だろう・・・時間稼ぎはもう終わりだ」
翔真 >「良いだろう、断るなら………今この時こそ全力でお前を阻む。これ以上の時間の浪費は、それこそお前の望む所ではないだろうから。」
そして、再び現実世界。
『沙弥のプラーナ』が、カプセルの中で眠る「義体」に転送される・・・
あまりにか細く、今にも消えそうな光が・・・「義体」へと吸い込まれていく。
更に、作業中だった鋼地の幸福の宝石が割れる…(爆)
GM >そして、転送元には・・・そう。『フラグメント』が残された。
司 >「沙弥さん・・・」
弓 >「………………………どう?……」
レオン博士 >「うむ・・・確かにプラーナは転送されたはずじゃが、指一本動かんとは・・・」
鋼地 >「…………固着ができてねぇのか……?」
弓 >「…………………まだ、アドの凍結が効いてるの?……ちょっと……」
レオン博士 >「うむ・・・どうやらそのようじゃな。このままでは『沙弥』は永遠に眠ったままじゃぞ」
鋼地 >「……そうなると……信じてやるしかねぇのかもな……」
弓 >「(ぎゅ、と残ったフラグメントを握り締めて)……おきなさいよっ……!!!……まだ…全然言い足りないんだから!!!」
司 >フラグメントを握っている弓の手をさらに自分の手で包んで「そうですよ・・・。俺は、まだあなたに返さなくてはならないものが一杯あるんです」言いつつ、プラーナをフラグメントに注ぐ
鋼地 >「『イサーク』、『イシュマエル』……どうなってる?」
GM >では・・・インテリジェンスアイテムが自動起動する・・・
鋼地 >発動するならこれで二回目〜……って自動起動!?(笑) どんどんトンデモアイテムと化して行くよイシュマエル!?(爆)
GM >イシュマエルにインフォメーションが表示される・・・『現状のままでの蘇生成功率 >0% 大いなる力を操る者の助けが必要となる』
その間に…弓と司は、幸福の宝石が2個も砕ける音(爆)に混じって…
かすかな、消え入りそうな声を聞く。
鋼地 >みんなしてパキョンパキョン石を砕いていく……よほど難しいんだな蘇生術(笑)
アドノレ >それもまたドラマティックではある
?? >『そら・・・ちゃ・・・・・・・・・けて・・・・・・・そ・・・・・・・』2人の耳に残響のごとく響くそれが、消えていく。
弓 >「…………………そら?……そら!?…」
鋼地 >「大いなる力を操るものだぁ!?……(ここで弓さんの声を感知)……そら……か…………?」
司 >「く・・・頼む、誰でもいい。力を貸してくれぇぇぇぇ!!」
鋼地 >ここでマキに沙弥を救ってくれというのは少なくとも間宮君からはいえない……マキに失礼になりそう…………
弓 >むぅ、そらを起こさないとダメってことでいいのかな?
鋼地 >「……(……何をどうすればいいのか……わからなくなってんな…………マキを一番に考えるってのはきまってっけど……回りからすりゃそれも異端か…………だからといって変えるつもりもねぇがな。)」
弓 >「……博士、全力で現状を維持しておいて……もう一度、潜る…!」
レオン博士 >「む?うむ、しかし良いのか?」
弓 >「………そらを起こすにしても、翔真たちを呼び戻さないといけないし…ディーが潜ってるなら、そらのチカラを全部もってっちゃう可能性もあるもの…。それじゃ意味がないから…。」
レオン博士 >「そうか・・・じゃが、急げよ」
弓 >「………わかってる…!…るなっ!さっさと送って!」 他に奇跡が残ってる大いなる者がいない以上しかたにゃー!
瑠那 >「へいへい。ま、終わったらひと晩ネコミミメイド姿でご奉仕してもらうからいっか☆」
弓 >「…今は冗談に付き合う気はないわっ!」 だいぶしたら速攻でしょーまくんとこにー
そのインナースペースでは…!
ディー >「・・・・・・・俺の邪魔をしたな」
翔真 >「言ったとおりだ、それにマキの事はともかく他の事に対しての返事もまだ聞いていない。」
ディー >「・・・言ったはずだ。俺の邪魔をしなければ、手を出すつもりはないと・・・お前は今、それを破った」
翔真 >「この期に及んで時間稼ぎをする様な輩に見られていた事にも聊か憤りは感じたが(フッ)」
ディー >「事実は事実だ。こうして妨害までしてくるならば・・・もう遠慮はしない。たった今から、お前は俺の『敵』だ」
翔真 >「……勝手を言ったのは御互い様だと言うのであれば、否定は出来ん。」ハイレベル龍使いに短期決戦&タイマンで勝負になるわけがー(苦笑)
アドノレ >死にそうになるまでは手出し無しの予定
ディーは翔真に一撃をくれると、そのまま背後の「大樹」に入り込んだ。
受けることが出来たとはいえ、決して小さなダメージではない…
翔真 >「っ………どっちが甘いんだか、全く(チッ)」
アドノレ >「どれ、事態が動く前に治しておこう」
アドノレがレインコールで翔真を回復させた、まさにその時。
インナースペース全体が、激しく震えた!
弓@急行中 >「!!!!…ヤバい……………!………全速全開ッ!!!!!!!!!」
翔真 >「………これで拙い事態になったら、尽さんや弓ちゃん達に止めを刺されるだろうよ(嘆息)」
ディー@大樹 >『安心しろ・・・貴様と違って、俺は一度した約束は守る男だ。殺しはしない』
翔真 >「平気で嘘は吐くくせに、よく言う……(フン)」
アドノレ >「次は何がお出ましか」
ディー@大樹 >『断片たちよ・・・絶対神算の頭脳、破壊の右腕、無限の心臓よ・・・今こそ我がもとへ』
その時、現実世界では…そらが眠っているチャンバーが、激しく輝いていた!!
レオン博士 >「な、何事じゃ・・・なにが起こったんじゃあ!?」
司 >「くっ…」沙弥の素体をかばえるような位置に
鋼地 >「調べてからじゃねぇとわかんねぇ! 手伝ってくれ!!」
GM >そして・・・鋼地と司が見ている前で、チャンバーからまばゆい輝きが飛び出し・・・地上へと続く回廊の方に消える!
司 >「鋼地さんはここに!俺が行きます」回廊に飛び出ます
鋼地 >「了解! そっちは任せる!!」
司が向かった先には・・・『ディー』が立っていた。
司 >「ディー!!」
ディー >「・・・・・・なんだ、騒がしい」
司 >「天意虚空の力、手に入れたんですか?」
ディー >「・・・・・・『心臓』以外はな。つまらん邪魔が入った、今回はここまでとする・・・心臓は、後日回収させてもらう」
司 >「待ってください…。あなたに一つ頼み対事があります。こんな事を頼む筋合いはないかもしれない…ですが、沙弥を助けてやって欲しい」
ディー >「・・・それは俺の仕事ではないな。もっと適任者がいるはずだ・・・お前達の中にな」その脇に『修道士』が現れる。
司 >「・・・あなたはこれからどうするつもりなんですか?」
ディー >「・・・先に言ったとおりだ。それ以上でも、それ以下でもない・・・いずれまた会おう」
ディーと修道士は、司の目の前で忽然と姿を消した。
一方、インナースペースでは。翔真とアドノレが見ている前で、
大樹が瞬時にしぼんだかのようなビジョンが浮かぶや否や・・・
白銀色の輝きが辺りに満ちて、光景が元に戻る。
GM >弓、到着OK!
弓 >「遅かった!?ディーは!?」
翔真 >「大樹の中に入った、それがしぼんだ様に消えた後光って……この通りだ。」
アドノレ >木が萎んでもこの場が崩壊してる気配ではない?
GM >うん、崩壊はしていないね・・・そして、周囲を見たアドノレには分かった。大樹の近くに、浮遊しているクリスタル状の物体がある。
弓 >「…とにかく、ここを出るわよっ!……そらのチカラがないと、さやが起きれないの!」
翔真 >「…………解った。」
アドノレ >「うむ」
弓 >「…あなたも、急いで…!」
GM >クリスタルはその場にとどまっている・・・その輝きには苦笑の色が浮かんでいるかのようだ。
鋼地 >……ディーの置き土産?(ぉ<苦笑いするクリスタル
アドノレ >クリスタルを拾い上げていこうとします
弓 >無理矢理でもつれてくぞー(笑)
クリスタル >『あぁ、私はいいから・・・ったく、ツングースカの欠片3つ持ったディー相手に単身挑むなんて無謀よね』
アドノレ >「何か言われておるぞ」>翔真
翔真 >「本気で挑むならもっと違う手を使っている、今更何の用だ?サーシャ=クラスヴィンカヤ」
クリスタル→サーシャ >『ご挨拶ね、心臓だけでも守ってあげたって言うのに・・・そうでもなければあんた達、永久にここに閉じ込められてたかもしれないわよ?』
翔真 >「…………さて、どうかな。」
弓 >「……それには感謝してる。……けど、貴女だけおいていくわけにはいかないもの。」
アドノレ >「呼び戻したい声が届いてる事は確かだ。無理強いするつもりも無いがな」
翔真 >「まぁ、得る物も有ったがな(ボソ)」
サーシャ >『どうでもいいけど、こいつを再構成する時間はちょうだいよ。なにしろディーに頭と右手を引っこ抜かれてるし、ここから沙弥とマリキュレイターが抜けちゃったから、パワーの供給が不安定なのよ。悪いけど、今までどおりの姿には出来ないわね』
弓 >「…………とりあえず……残ってる私のプラーナ、全部あげる…」
サーシャ >『プラーナじゃないのよ。構成する力の問題・・・心臓のことを一番良く知っているのは、あの2人だもの』
弓 >「……………う………わ、わかったわ…私は…右腕しか知らないから…。………何か、手伝えればいいんだけど…」
翔真 >「…………そらは何処だ?」
サーシャ >『そりゃあ、ここで寝てるに決まってるじゃない。ま、あなた達に見えるようにするためにこうして像を結んでるけど、私も本来はここにいる、のよね』
翔真 >「そらの意識は何処にあるか、と聞いた方が良かったか……まぁ良い。」
サーシャ >『とりあえず、先にそらを起こしてくればいいんじゃない?急いでるんでしょ』
翔真 >「(嘆息)………今はその助言に従っておく、あと邪魔をしなかった事には感謝しよう。」
弓 >「でも、いいの?…私は…貴女にも、起きて欲しいんだけど……。………」
サーシャ >『ま、ここから出ても私は人間じゃないし、どこでどうしても構わないんだけどね。もともと、火狩とかに頼まれたからここにいるだけだし』
弓 >「……私も、その火狩に……た、頼まれたわけじゃないけど………その…」
アドノレ >「火狩に告げる役目は譲ってやろう」(笑)>弓
サーシャ >『そうね、頭脳がなくなっちゃって知識をもらう事も出来ないんじゃ、ここにいてもどうしようもないわ。再構成が終わったら、どこへでも出てってあげるから』
翔真 >「………(−−#」
弓 >「…わかった…。」
翔真 >「そうかそうか………俺は結局ディーにもクラスヴィンカヤにも騙されたと。」
サーシャ >『世界はままならない事ばかりよ。だから生きる意味が出てくるんだけどね』
弓 >「………世界はそんなはずじゃなかった、ばっかり…かぁ…(くす、と苦笑して)……急ぎましょう。こうしてるあいだにも…」
00 >「・・・・・・【そら】なら、ここにいる・・・(出現)」
翔真 >「00?………どう言う事だ?」
00 >「・・・・・・マリキュレイターの攻撃が停止した後、0Xのメインプログラムを探していたが、発見したので回収した」
翔真 >「なるほど………了解した、ありがとう。」
00 >「・・・・・・・・・だが、問題がある・・・0Xのプログラムは、沙弥の思考に依存していた。それがなくなっている以上、出来るのは機械的な応対のみだ」
弓 >「……………………うん…。…それで全部がゼロになることはないと思うの。記憶や思考は、頭だけに宿るものじゃないわ。」
アドノレ >「いづれ判る」
翔真 >「………00。0Xの……そらの今の状態で”大いなるもの”としての力を供えている場合それを使う事は出来るのか?」
00 >「・・・わたしが補佐すれば、可能性は上がる」
翔真 >「そうか………済まないが、後で頼めるか?時間が無い様なのでな。」
00 >「忘れるな、わたしはインフィナイトだ・・・世界を守るウィザードの力となるものだ」
翔真 >「感謝する(目礼)今はまず沙弥を。」
00 >「沙弥の命を救うことは、最大優先事項のひとつだ・・・」
翔真 >………………報告したら尽さんのお仕置きが待っているだろーなぁOTL(ぁ
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