【外伝・序章】
智律と15年の記憶
<PART−02>
かくして、一同は(とりあえず智律も引っ張って)喫茶店「Mon Ami」に移動する。
やよい:「あら、いらっしゃい(^^)」
怜:「こんにちは〜」
真琴:「お邪魔しますよ、やよいさん、マスター(くす)」
そら:「・・・・・・(ぺこり)」
おやっさん:「これはまた、珍しい取り合わせだな…今日は一体どうしたっていうんだ…?」
怜:小声で「おやっさん……ちょっと良いですか?」
おやっさん:「んっ? 何があったんだ・・・?」>怜
怜:小声で「……真琴と、そらちゃんに、15年前のアレの話をしても良いですか?
真琴:「15年前・・・ですか・・・・・」
怜:「言いだしっぺは俺ですけど……ちょっと、いやかなり気になったことがあったというか起こったので」>おやっさん
やよい:「真琴さんはともかく・・・そらちゃんにはまだ早くはないかしら・・・?」
怜:「……そらちゃんには刺激が強すぎるかもしれないって思ったんですけど、そうとも言えなくなりましてね。(小声で)智律が……そらちゃんの”ともだち”と瓜二つだったんですよね」
やよい:「・・・なるほど・・・そういう事でしたのね。」
おやっさん:「その話は・・・初耳だな。しかしそれで、智律君が気を失っている理由は見当が付いたか…。」
怜:「俺も真琴も、ついさっき気が付いたんですけどね」
真琴:「先ほど、はじめて見たんですけどね(くす)」
おやっさん:「なるほどな。それで、15年前と智律君の話と・・・どう繋がるというのかね?」
怜:「写真の智律に似た女の子が楠ヶ浦学園の制服を着ていました」
やよい:「すると・・・少なくとも、楠ヶ浦学園の在籍者という事ですわね。」
怜:(更に声を落として)「そして……そらちゃんがどうも……この前柿崎のオヤジが押しつけてきたDVDの内容と似たような記憶があるようなことを口走って、それで……」
真琴:「DVD・・・どのような内容で?」小声で
おやっさん:>「(小声)15年前の悪夢・・・この街と東日本全域を襲った災厄の正体について、だよ。」>真琴
怜:「真琴は、知っておいて良いと思う」>DVDの中身>真琴
真琴:「ふむ・・・私にも見せていただけますか?」
おやっさん:「ああ、そうだな・・・では、少し店の方で準備をさせてもらうよ」
やよい:「すると、おかしいですわね・・・そらちゃんの事はわたくしも調べておりましたけど、彼女の特徴に該当する生徒はおりませんでしたわ。」
真琴:「そらちゃん、ちょっと写真を貸していただけますか?」
そら:「・・・・・・はい(取り出し)」
真琴:「ありがとう(くす)…やよいさん、この少女達を調べてもらえますか?」写真を見せます>やよい
やよい:「ええ、わかりましたわ・・・日数は掛かるかもしれませんけど、よろしいですわね?」
真琴:「ええ、問題ありませんよ(くす)」まだ切迫してない・・・と思う>やよい
やよい:「では、この写真をコピーしに行ってきますわね・・・そらちゃんも、ついて来ます?」
そら:「はい・・・大事な、写真・・・なので、取って・・・おかなければ、なりません・・・」
やよい:「わかりましたわ。では、そらちゃんをお借りしますわね(^^)」
真琴:「ええ、お願いします」>やよい
怜:(小声で)「正直、映像見せるのは、まだそらちゃんには刺激が強すぎると思いますから……助かります」>やよい
やよい:「いえいえ。まだわたくしもいくらか疑念が残っておりまして・・・お安い御用ですわ(^^)」
かくして、やよいと【そら】は連れ立って外へ。
その後…おやっさんは店の窓を一斉に雨戸で覆い、扉をロック。
そして、例のDVDが再生され始める…
…廃墟。爆煙。夥しい屍。重油の浮いた海。燃える海と…陸地。その正面に聳え立つ、巨大な影…
よく見れば、その影に向かって…小さな光がいくつも飛んでいるものの、それを全く意にも介さず。
『それ』は…両腕!?のように見える『何か』をいっぱいに広げ、無数の小さな塊を放出。
それは不規則な軌道を描いて飛び・・・周囲を更なる火の海で包む。
映像は、『それ』へと近づき…空を飛んでいるのだろうか、ややあって『それ』を俯瞰するように、全貌が明らかになる。
『それ』は…灰色の、巨大な金属の塊。無数のアンテナやらレーダーやら砲塔やらが
不規則に生え揃っていたが…頭部には『63』と白い数字が描かれている。
そして、眼下の光景…米軍や国土防衛隊の基地が、そして街一面が燃えている。
『それ』は、1kmはあろうかというその巨体で、その身から放った砲火やミサイルで、
護衛とばかりに飛び回る、航空機が歪んだようなモノすら体内から繰り出して、
周囲に群がるウィザード達をこともなげに吹き飛ばしていく。
その、真紅の眼光が、こちらに向けられ…瞬時に構成されたマストのようなものが、急激に迫り…映像は途切れる。
これぞ、15年前に横須賀を襲った『災厄』の正体…当時横須賀に存在した、すべての艦艇が取り込まれた姿…
…超絶魔王級機動侵魔『第7艦隊』!!
おやっさん:「・・・と、これが概要だが・・・正直、何度も見たくはない映像だな(苦笑)」
怜:「……見たくないと思っても、事実は事実なんですよね……いや、真実と言った方が、正しいですか」
おやっさん:「それで・・・この映像の中のことを・・・そら君が知っているようだというのだね?」
怜:「どうも……完全ではないんですが、ピンポイントで合致するんですよね」>おやっさん
おやっさん:「そうか・・・あの制服と、それにやよいから話を聞いてまさか、とは思ったが・・・おそらく、彼女もかつて楠ヶ浦学園のウィザードだったのかも知れんな。」
真琴:「・・・第七艦隊・・・・・か・・・」
おやっさん:「智律君、大丈夫かね・・・顔色が悪いようだが・・・」
智律:「は、はい・・・。大丈夫、です・・・。」
怜:「智律、これ……」口つけてないお冷や渡そう
智律:「は、はぅ・・。ありがとう、です・・・・・・ぷ、はぁ・・・。」ごきゅごきゅごきゅと中身を確かめずに一気飲み
怜:普通のお冷やですよ(笑)>智律
智律:一瞬、お酒の方かと思いました(笑)>お冷
おやっさん:「無理もあるまい。この時『第7艦隊』は・・・核攻撃までおこなったのだからね・・・」
真琴:「しかし・・・核攻撃が行われて、よく大丈夫でしたね?」すごくそこのところが疑問
おやっさん:「それに関して正確なところは分からないが、どうも御門家が防御結界を張ってくれたようでね・・・世界結界の力もあって、放射能被害に関してはほぼゼロに抑えきった次第だ。ただし・・・失われた命は、失われたまま・・・だが。」
真琴:「なるほど、ね・・・・」しばし考える
おやっさん:「もっとも・・・あの時は関東一円が月匣化したからね。その被害と損失は、筆舌に尽くしがたいものだった・・・。」
真琴:「第七艦隊がエミュレイター化した原因については、わかっていないんですよね?」確認するように>おやっさん
智律:「・・・・何らかの原因で第七艦隊がエミュレイター化した・・・。」(考え中)
おやっさん:「ああ。おそらく知っているのは・・・当時の第7艦隊の関係者だろう。もっとも、今から見つけ出すのは非常に困難だろうが・・・」>真琴
真琴:「そうでしょうね・・・・・・・(第七艦隊・・・・・もう少し調べてみる必要がありそうですね・・・)」
怜:「国土防衛隊の関係者は……どれ位生き残っているかご存知ですか?」
おやっさん:「・・・分からん。国土防衛隊の横須賀基地も、『第7艦隊』に侵食、ほぼ全滅させられているからね・・・問題の『第7艦隊』の最後の位置にしても、柿崎二佐によれば、レイヴン=ロフトに湮滅されてしまったようだしな・・・。。」>怜
怜:「そうですか……」
おやっさん:「これは私の推測だが・・・何故柿崎二佐が、ウィザードに理解を示しているのか。これは興味深いことかもしれないぞ、怜君。」
怜:「オヤジ……いや、柿崎さんは……いえ、柿崎さんと俺の師匠は俺の親もウィザードだったってことは言ってました。ただ、何のクラスかは教えてくれませんでしたけど」
おやっさん:「もしかしたら・・・そこまでは知り得なかったのかも知れんな」>怜
智律:「そういえば、当時の第七艦隊がどのような行動をとっていたのか・・・、そういうことはわからないでしょうか?」
おやっさん:「当時のかね・・・文字通り、日本に駐留していたさ。」>智律
智律:「…つまり、『駐留していた』ということしかわからない、ということですか…。」
おやっさん:「軍隊というものは基本的には国家機密の塊だ・・・あんまり内情が知れすぎていたら、それこそ機密になるまい?(苦笑)」
智律:「・・・そう、ですね…。蓋然性の高い可能性としては…。何らかの実験・・。あるいは…、狙って引き起こされた、のか・・・。」
真琴:「・・・確か第七艦隊には・・・あれがありましたね・・・・・」つぶやくように
智律:真琴さんの言葉にうなずき「ええ・・。可能性としてはあると思います。 あるいは…、空母や巡洋艦の動力炉を使ったのかもしれません・・・。」
真琴:「第七艦隊との戦いで楠ヶ浦学園は消滅・・・むしろ消滅させなければならない訳があったのか・・・わからない・・・・」
おやっさん:「この地はもともと、東京の海の玄関・・・いってみれば喉元にあたる。だから、古来から様々な形で防衛拠点が置かれていたんだ。」
怜:「神奈川の海沿いには、いわく付きの場所が結構ありますからね……」注:これ、事実です(爆)
智律:「猿島もそのひとつですね・・・。」>防衛拠点
おやっさん:「おそらくは…楠ヶ浦学園で何かがあったのだろうとは思うのだがね。エミュレイターが第7艦隊を利用してまで、叩き潰そうとした『何か』を。」
智律:(首を振りながら)「今の情報では断片過ぎますね…。 そして、このクラスの機密事項となると僕達では調べきれないです…。」
真琴:「そうだねぇ、『私達』ではちょっと触れないねぇ・・・」なにやら意味深げに
怜:「全ては、楠ヶ浦学園か……」
おやっさん:「ともかく当面は、やよいに楠ヶ浦学園の当時の在校生について調べてもらうことにするよ。仕事を抱えながらだから、どうしても時間は掛かるがね(苦笑)」
真琴:「ええ、早急にと言うわけにはいかないでしょうし、お願いします。」>おやっさん
怜:「時間がかかるのは仕方ないですよ……殆ど情報が残されてないことですし」
おやっさん:「ああ。君達は・・・そら君の記憶の件で、引き続き協力を頼みたい。もしかしたら、彼女の記憶に・・・重大な手がかりがあるかもしれん」
智律:「はい、です…。僕も・・・、いえ、なんでもないです…。」
おやっさん:「もっとも、諒太狼君や尽君、それに翔真君などは、そら君との事でかなり苦心しているようだが(苦笑)…他にも、有力な手がかりになるものがあるなら、どんどん集めておいた方が良いかもしれないな」
真琴:「ええ、私もいろいろと手は打っておきましょう(くす)」
怜:「あの……今まで言わないでいたんですが……俺個人のことで申し訳ないんですけど」
智律:「怜お兄ちゃん、どうしたんですか?」
おやっさん:「何かな…?」
怜:「俺……、冥魔法の使用を師匠に禁止されていたんです」
真琴:「・・・そういえば、使ったところは見たことありませんね・・・」<冥魔法
怜:「いくら聞いても理由教えてくれないから……この前呪文覚えられるときにシャドウブレード覚えたんですよね……」
おやっさん:「そうか・・・」
智律:「でも、どうしてなんでしょう・・・?」
怜:「……見てくれればわかりますよ……ちょっとだけ、許してください」
おやっさん:「・・・ああ。」
怜:「……”闇の刃、我が拳に宿れ”」
怜の拳に闇が宿ったその刹那、その目の色が金色に変わる…!
智律:「り、怜お兄ちゃん…。目…、目が金色に……。」
怜:「……驚かせたな」>智律
真琴:「金色の瞳、ですか。」変化は見て取っても動じない
怜:「こういうことかって、自分は納得したんですけどね……」解除と同時の元の青い目に戻る
智律:「り、怜お兄ちゃんは怜お兄ちゃんです…。瞳の色が変わっても、それは変わらないです…。」(ぎゅっと怜おにいちゃんに抱きつきます)
真琴:「・・・さながら・・・・・・」つぶやく
怜:「大丈夫、落ち込んだりはしてないからさ」頭なでなで>智律
智律:「はう・・・。」
真琴:「ま、そのくらいで驚いていては夢使いは勤まりませんし、怜には変わりないですから(くす)」
怜:「真琴……あんたみたいなやつがいて助かったべさ(くす)」>真琴
真琴:「ま、そいつはなにより(くす)」少し照れつつ
怜:「……ありがと、な」(小声で)
おやっさん:「(なるほど・・・何らかの理由で封印せねばならない理由があったのだろうな)」
怜:「…で、この事自体、親のクラスが関係しているのかもしれないか……と思ったので」
おやっさん:「ふむ・・・そうかも知れんな。だが、何故そこまでして封印せねばならんのかは・・・私にもさっぱりなのだがね(苦笑)
怜:「おやっさん……俺自身に何が施されたか調べる方法はありますよね?」
おやっさん:「それには・・・改めて、経歴などをあたってみる必要がありそうだね」>怜
怜:「そうですね……」
おやっさん:「さて・・・と。このままではやよいが戻れなくなってしまうから、この話題はここまでにしよう。あとは・・・状況が進展次第、という事で。いいかな?」
怜:「はい、そうしましょう」
真琴:「それがいいですね」
智律:(僕も・・・・、僕の本当のお父さんとお母さんを…、みつけ、たいな…。)
真琴:「調べていけば、智津君の記憶も戻るかもしれませんし(微笑)」
おやっさん:「ああ。しかし、これは・・・ある意味、エミュレイターとの戦いよりも厄介な課題だな(笑)」
真琴:「ええ、ある意味ですがね(くす)」
智律:「はうううう〜」
かくして、「MonAmi」においての会話は終わり、とりあえずの日常へと戻ったウィザード達…
だが、彼らがはからずも知ってしまったこれらの事実が、
その後彼らをして、数奇な運命の坩堝へと飛び込ませていくのだ…
【序章・了】
PREVIOUS CHAPTER | NEXT CHAPTER |