【外伝・第1章】
惨劇が残したもの
<PART−13>
呪われし、哀しき相似形
杉崎博士:「あれは・・・15年前。私が沙弥を引き取って・・・中学に進めた後のことだ」
智律:「・・・・・・・・・・。」
怜:「……」黙って聞いていよう……
杉崎博士:「その頃、その楠ヶ浦学園で・・・世にも恐ろしい計画があって、沙弥は、それに利用されてしまったのだ・・・」
智律:「はぅ・・・・・。」
杉崎博士:「小学校のとき・・・沙弥は、科学者の手でひどい目にあわされ・・・そして、中学に上がってもなお・・・」
智律:「・・・・・あぅ・・・・・・・・・。」
杉崎博士:「連中は知っていたんだ・・・その事実を。知っていて・・・沙弥を道具にした訳だ。」
尽:「・・・・・・」そのあたりは聞いていた通りだと、つとめて冷静に聞く。
杉崎博士:「やがて・・・連中は、沙弥の身体の負担が増えてきたのを知った・・・そして、沙弥の代わりになる生体ユニットを造ろうとした・・・」
尽:「生体ユニット・・・」
真琴:「・・・・・・・・」黙っているけど・・・普段より目が冷たい・・・・
智律:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」(顔は青ざめるが・・、しかし顔を背けないで)
杉崎博士:「恐ろしいことに、沙弥の身体から・・・細胞を採取して、法律で禁止されている『複製人間』を・・・!」
智律:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それが・・・・・・・。」
杉崎博士:「・・・・・・・・・複製人間には、適当に作られた記憶しかない。何故なら・・・命令に従い、あれを制御する事が第一目的だったからだ・・・」
尽:「・・・・適当・・・・」拳を握りしめて・・・ここは我慢。
杉崎博士:「あれこそまさに悪魔の研究・・・人間が踏み入ってはならない、禁断の存在・・・」
真琴:「・・・・・・・・・・(ぎりっ)」歯を噛み締める・・・いろいろな思いで
杉崎博士:「あんなものなど・・・存在させてはならなかったのだ・・・あんなモノのために、沙弥は・・・楠ヶ浦学園は・・・(目を伏せる)」
尽:「・・・」ちょっと真琴君の肩を軽く叩いておこう。 辛いのは本当は俺達じゃないから。>真琴君
真琴:「・・・・・・」少しだけ見て・・・頷いて目を伏せる・・・・・・>尽さん
智律:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
怜:「……」 すまん、情はさまずに聞くようにしているから(苦笑)
杉崎博士:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そして、あの事件で・・・すべては塵にかえった。沙弥も・・・そして、その複製たちも・・・私は、そう思っていたのだが・・・どうやらそれは、大きな間違いだったようだ。」
智律:「・・・・・・・・・・・・・・・その、生き残りが、僕、なんですか・・・・・・・?」>杉崎博士
杉崎博士:「わからない・・・あるいは、残されていた細胞があったのかもしれないが・・・」>智律
智律:「……でも、僕は「オトコノコ」です…。「オンナノコ」じゃ、ないですよ・・・・?」
杉崎博士:「クローニングとコピーは同じようなもの・・・回数を重ねれば、情報は劣化する・・・劣化した情報を補えば・・・どこかに相違が生じる、らしい」
真琴:「・・・・・・・」何かを堪えるように・・・・・
智律:「・・・・・・・・・・・・・・・・・(虚ろな笑みで)じゃあ、僕は、…………欠陥品、なんですか…?」
杉崎博士:「………………これもあの頃、あの連中が言っていた事だ…」
智律:「(しかし頭を振り)ううん、それはきっと感謝することだと思うです。 だって、僕は沙弥さんじゃないって事ですから………。」
華恋:「・・・・・・・・・・・・・・・」ずっと静かにしている・・・。
智律:「……今は、今はそんなことはどうでもいいです・・・・。ボクは僕ですから…。」
尽:「・・・・・」ちょっと感心して聞いてる。わかってるのか、と<ボクは僕ですから
怜:「……」 なるほど、腹は決めてたんだな……と少しだけ見直し。
智律:「今は…、「あの連中」と…、沙弥さんと、複製さん達がやらされていたことっていったい・・・。」
杉崎博士:「いうなれば、精神力とプラーナの搾取・・・あれを使うための代償、といったところだ・・・」>智律
智律:「・・・・・・・・・・・「あれ」・・・・・?」
杉崎博士:「私を訪ねてきたという事は・・・君たちは知っているはずだ・・・『あれ』が何であるかを・・・。」
真琴:「ディメンジョン=ガジェット、ですか・・・」どこか底冷えする声で・・・<あれ
智律:「・・・・・・・・・・・・・ディメンジョン・ガジェット・・・・・・・・・。」
怜:「……ですね」
尽:尽はもう、はっきりしてるので言わない。
杉崎博士:「・・・・・・・・・・・・・・・(無言で肯定)」
怜:決断したし「…………教えて、下さい。」
智律:「それは・・・・・一体どんな・・・・?」
杉崎博士:「すべての事象の改変を・・・意のままとするなど・・・無を有に、有を無にするなど・・・狂っている以外の何だと言うのだ・・・」
智律:「…………全ての事象を操る…?」
尽:「・・・それが、『ディメンジョン=ガジェット』なのですか・・・」
智律:「神様の…、神様の真似事でもする気だった…。(自分の言葉に苦笑し)神様を気取っていたんですね…。」
真琴:「そして・・・手におえず・・・・・」少しばかり目がうつろ・・・
智律:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
真琴:「しかしそれは・・・・・・エミュレイターと何処が違う・・・アカシックレコードを書き換えて常識を変える・・・その何処が・・・・・・」落ち着け真琴
怜:「細かいことは聞いてます。しかし、正体に付いてはまだ見えていません」
杉崎博士:「『ディメンジョン=ガジェット』の本体については・・・私も知らないのだ・・・当時の私が携わったのは・・・『ディメンジョン=ガジェット』と、それを守護する『インフィナイト』の開発・・・だからね」
尽:冷静になって「概要はわかりました・・・それで、あの連中というのは?」>杉崎博士
杉崎博士:「・・・・・・アルベールにモルセール・・・沙弥の事と、複製人間の事は・・・私が知る限り、あの2人が画策した事だ。あの2人の研究を追い越した、サーキンスが扱っていた実験体・・・連中にとっては、喉から手が出るほど欲しかったのだろう。」
怜:「……16年前の、11月3日の事件ですね」
尽:「なるほど。」情報整理しつつ聞く。
杉崎博士:「・・・・・・だが、私は今はもう安心している・・・『あれ』が・・・『ディメンジョン=ガジェット』が、横須賀の地で潰えてくれた事に。あれは・・・私の、最悪の悪夢だった・・・」
真琴:「・・・・・・」
智律:「・・・・・・・・・・・・・・・・・あの、僕からの、最後の質問、聞いてもいいです、か・・・?」
杉崎博士:「構わない・・・(既に脂汗が浮いているが、それでも話さねばならない、という姿勢)」
華恋:「博士・・・・・・・。」
怜:「……」華恋の肩に軽く手を置こう。すぐ離すけど。
智律:「(しかし、天羽の視線は、虚ろで、・・・それに気づくことはなく…)僕は・・・、一体何なんですか…? 人、なんですか? …それとも、他の何かなんですか・・・? 僕は僕です・・・。それは間違いないです…。でも、これだけは・・・。これだけは・・・・・・・。」
杉崎博士:「・・・・・・・私が予想できる事は話した・・・だが、断っておくが・・・これはあくまで私の予想でしかない・・・。」>智律
智律:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
杉崎博士:「君を見たとき・・・あまりに沙弥に似すぎていたので・・・昔の事を思い出してしまった・・・それだけ、だ」>智律
智律:「ありがとうございますです…。 …………僕は、沙弥さんじゃない。…今はそれがわかっただけでも十分です・・・。」
杉崎博士:「だから・・・もしかしたら、君にとっては・・・勘弁ならん事を言ったかも知れん・・・」
智律:「僕は、大丈夫です…。だって、お義母さんや、お義父さん…。それに、尽お兄さんや怜お兄ちゃん、真琴さんや皆が居てくれますから・・・・・・。」
杉崎博士:「そうか・・・ならば、自分を信じるといい・・・何があってもな・・・そうだ、少なくともこの私のようにならないように・・・」>智律
尽:博士の台詞には・・・それは・・・どうでしょう? と思ってるが、一切顔には出さない。
智律:「はいです・・・・・・・・・!」
◆ ◆ ◆
尽:「さてと・・・俺が聞きたいことは聞いたけど。 みんなは他にあるか?」>ALL
怜:「……(少し考えて)いえ……聞きたかったことに付いてはわかりました……」これ以上問い詰める必要はない……と判断したので。
真琴:「・・・・ええ・・・少しだけ・・・・・・」
尽:「博士もお疲れのようだし・・・」ちらっと、博士と華恋の方を見つつ。
智律:「(この時、初めて杉崎博士の容態に気がつく)あ、あわわわ、こ、こんなに汗まみれになって・・・。もっと、ゆっくり休まなきゃ駄目ですよぅ・・。(おろおろ)」
真琴:「・・・少しだけ・・・・・二人だけで話させてください・・・・・お願いします・・・・」思いつめた表情で>ALL
尽:「・・・それじゃあ、俺達は席を外そうか。」
怜:「……ああ、そうだな」真琴の表情見て何かあると判断したので
智律:「真琴さん・・・? ・・・・・・・・・・・・・・・・・わかったです。」
華恋:「・・・・・・・・・・・私は、いてはいけませんか・・・?」>真琴さん
真琴:「・・・・・すみませんが・・・」首を横に振る>華恋
華恋:「・・・・・・・・・・(寂しげに一瞥。一礼して、病室を離れます)」
怜:「……真琴、終わったら呼んでくれ」>真琴
琴:「ええ・・・手間をかけます・・・・・」>怜
怜:「気にすんな」(微笑して)>真琴
尽:「手短にね(ははっ)」病室を出る前に、いつもの調子で>真琴君
真琴:「・・・・ええ(微笑)」無理してるけど>尽さん
怜:(内心:真琴……ありゃ思いつめてたな)
智律:…そして、平静を装い病室を出た後…。何処かへと走り去っていきます(笑)「あぅ・・、あぅぅ・・・・・・・・・・・・。」
尽:「・・・おい、智律っ!」どうする?と、怜の方を向く。
怜:「……ここは、独りにしてやろう……」智律の背を見ながら「……今は……俺達がいる方が辛いんじゃないかって思う」>尽
尽:「・・・そうかもな・・・」智律もわかっているようだから・・・大丈夫か。>怜
華恋:「・・・・・・・・・・・・・・・・・(病室の前で、もの静かに佇む)」
怜:2人に聞こえんよう小声「……後で真琴のフォローもするべ……」
尽:「おまえもな(ははっw)」<フォロー>怜
怜:@小声「聞いてんじゃねえよ(苦笑)」でも表情はちょっと暗い>尽
さて、杉崎博士と2人きりで病室に残った真琴は…
真琴:「・・・・・・率直にお尋ねします・・・・・・・・・ディメンジョン=ガジェット・・・・指示を出したものは・・・誰ですか?」少しだけ震える声で
杉崎博士:「・・・・・・・・・・・・・・楠ヶ浦学園の最高責任者、フォルツァ枢機卿・・・いや、厳密には・・・ローマ聖王ご自身の判断で、『ディメンジョン=ガジェット』の製作は承認された・・・その計画責任者が『マスター=ジェスター』・・・。」
真琴:「(ぎりっ)・・・・・・・・・(はぁ)・・・・・・・・・・わかりました・・・・・・ありがとう・・・ございます・・・・・・」妙に・・・落ち着いた様子で・・・
杉崎博士:「『マスター=ジェスター』についてはほとんど分からない・・・私が知っているのはそれだけだ・・・」と、その後は瞳を閉じる。
真琴:誰にともなく小声で「・・・・・・・・・あなたは・・・・・・何故私をこの地へ・・・・・・・・・・・・」そして外に出ます・・・
怜:「……」一時その場を去って、缶ジュースの自動販売機捜します。
GM:OKOK。自販機なら、売店コーナーの近くにあるね。
怜:見つかったら、冷たいストレート紅茶探して買って戻ってきます
そして、智律は…病院の、誰も来ないような庭の片隅にまで走り、立ち止まった。
止める事も、誰にぶつける事もかなわない感情…それが涙となって溢れ出る。
「う、うぁ・・・、
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………!!!」
「何で、何で…、何で、こんな事に…。
僕って、僕って一体…、一体何なんですかぁぁ・・・。」
「僕、僕…。
うゎぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!!」
荒れ狂う感情の赴くままに、激しい慟哭を続けていた智律だったが…
やがて、何かを決意したように…ぎりり、と歯を食いしばる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・許せ、ないです…。」
「こんな…、こんな事をした人を許す事が僕には出来ないです。
でも、でも…、もし、それが本当に誰かのためを思っていたのなら…。」
「沙弥さんと、その複製さんたち…。皆…、皆、トモダチに慣れたかもしれないのに…。
どうして、どうしてこんな事になったか…。僕は、絶対に、知らなきゃ、ならないです…。」
「・・・・・・・・立ち止まることは、僕には許されていないです…。」
少年は、ぎゅっ…て手を握り、拳を作る。
いまだ見えない『何か』への衝動に突き動かされて…。
「たとえ…、この身が朽ちようとも、僕は真実を知り…、行動しなきゃならないです…。
それが、僕が、今、ここに居る、『理由』ですから……。」
「この身に宿る、沙弥さんと、その複製さん達…。どうか、今は見守ってください…。
皆さんのことは、必ず、僕が何とかするですから…。」
そして少年は静かに手を組み、目を閉じ、祈りを捧げる…ただただ、広がる空に。
そして、祈りを終えた智律は、ぐしぐしと顔を拭き、黒革のコートを改めて着込む。
「これは、僕の決意です。 絶対に、絶対に………!」
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