【外伝・第2章】
罪業の所在
<PART−08>
【そら】と弓と『破壊の右腕』
ドクトルは、少しだけ沈黙した後…口を開いた。
ドクトル:「ディメンジョン=ガジェットの技術をより平易にしてきたにもかかわらず、10年前のプロジェクト=デミウルゴスは失敗し、そして現在のディー=アームズも・・・不採用とされそうなのですよ・・・。」
真琴:「ほぅ・・・その両方に、博士は関わっている、と?」
ドクトル:「ええ、私もアンブラの人間ですから…結局のところ、別セクションで開発された【アンダーブルーム】に比べ非経済的である…と、社内では結論付けられそうなのです」
怜:「箒については、オプションパーツ開発絡みで少し事情は伺っています……誰にでも使える物の方が企業としてはありがたいでしょうね」
ドクトル:「しかし、無理もないでしょうね。数多くの被験者のうち、生き延びているのはリリスのみ…この時点で既に、エミュレイターに対抗するには実用性がなさ過ぎますから」
尽:「・・・弓ちゃんだけ・・・ですか。」
怜:「蒼魔一人…………」
智律:「…一人、だけ・・・・。」
真琴:「なるほど、ね・・・・・。それ以外は・・・・」
ドクトル:「そう…しかも、そのリリスとて【そら】という少女がいなければ、能力を安定できない…」
怜:「……蒼魔と”彼女”の間に、何か繋がりがある……と考えられないでしょうか?」
ドクトル:「それは既に推測できています・・・問題は、何が両者を結びつけるのか。この一点でしょう」
智律:「・・・・・・・・・・・・・・。」
尽:「・・・・・それは、お互いの気持ち・・・って、まさかね(ははっ)」ぼそっと。
ドクトル:「今までのデータでは、リリスに移植された【右腕】・・・これが【彼女】と共鳴する事で、さまざまな変化がおきてきたようなのです」
怜:「共鳴……ですか……(考えて)……その”移植された右腕”の正体については、ご存知ですか?」
ドクトル:「私も開発に携わった『エンジェルシード』・・・それと同じように、オクタへドロンからもたらされた技術により作成されたものです」>怜
怜:「オクタヘドロンですか…………松土教授が付き合い深いのは存じていますが……」今度エンジェルシードのこと聞こうと心の片隅にメモ……。
真琴:「彼女のインフィナイトとしての力か、それとも彼女の中にあるユグドラシルβか・・・」<共鳴
智律:「・・・時々、そらさんの姿が綺麗な翠の光に包まれるです。・・・あの事は・・・、何か関係有るんでしょうか・・・?」
ドクトル:「おそらく、あるでしょう・・・私も一度見ました」
怜:「ちょっと待ってください…………”移植された右腕”とおっしゃいましたね……?」
ドクトル:「ええ・・・正確には『右腕の機能を持った変形箒』だったはずなのですが・・・」<移植
真琴:「それが・・・今は違うと?」
ドクトル:「・・・ありえない事ですが、『右腕』自体が変質しているのです・・・。」>真琴
尽:「変質・・・?」思わず左腕を見るが・・・これは自前(笑)
真琴:「つまり・・・正確にはエンジェルシードではない?」
怜:「……どのように”変質しているか、データはありますか?」
ドクトル:「ええ・・・データはあります。本来ならば機密ですが・・・」
怜:「機密事項でしたか。失礼致しました」
ドクトル:「ともあれ、ここの課長からも特別に許可をいただいてますからね・・・」
真琴:メジャーの許可が出てるらしい(笑)
怜:「許可が降りていたのですか(流石に驚くぞ)」
尽:「ご協力感謝します。」心の中でおやっさんにもお礼を(笑)
真琴:「では・・・」許可が出るとは思わなかったらしい
怜:「拝見させていただいてよろしいということですか?」
ドクトル「簡単な解説だけになりますが(苦笑)・・・」
怜:「失礼、先走りすぎました(苦笑)解説だけでもありがたいことです」
ドクトル:「ありていに言えば、無機物から有機的性質を持ったものへと変容しているのです。一番に驚いたのは、箒のフレームが・・・オプションパーツを同化していっている事でしたね。」
尽:「えっ・・・?」箒持ってるのでビックリ(笑)
真琴:「同化・・・取り込んでいる?それは単に結合しているのではなく?」
智律:「…箒がヒトの血肉となっている、いうことですか…?」
ドクトル:「ええ・・・・・・ありていに話せば、オプションパーツを捕食し、その形質を取り込んで自己改良をしているようなのです。」
真琴:「・・・・・・それは・・・つまり・・・・・機能だけを取り込んでいる・・・と?」
智律:「…異物を…。取り込み、己のモノとしている…。」
尽:「喰らって、進化しているとでも?」
怜:「失礼……”エンジェルシード”自体は、どのような構造になっているのでしょうか?」
ドクトル:「無論、純正のエンジェルシードにはそんな能力はありませんから・・・そう、進化というべきなのでしょう。」
怜:「進化……ですか……」
ドクトル:「無論、これは設計外の事態です・・・そして、その事態に関わっているのが、皆さんも知るあの【そら】という少女・・・」
真琴:「あの子のあの技は確か・・・『エヴォリューション=ウェポン』・・・進化する武器・・・」
智律:「・・・そらさん・・・。」
尽:「博士の話を総合すると、彼女もまた、イレギュラーの存在ですから・・・何かあるのかも知れませんね・・・」
ドクトル:「『彼女』については・・・更に調査を進めなければならないでしょうね・・・。」
怜:「……でしょうね」
智律:「・・・はぅぅぅ・・・・。」
尽:「・・・でもな、そらちゃんが何者でも・・・俺等の気持ちは変わらないだろ?な?」あたまぽんぽん(笑)>智律君
怜:「……博士……ディメンジョン=ガジェットは……まだ横須賀に存在しているのですよね……それも関係ないとは言いきれないと、自分は思いますね」
真琴:「制御系が残っていても本体の消息がわからないことにはね・・・」
尽:ちょっと睨んで「制御系も残ってない。」きっぱり>真琴君
真琴:「おっと、少し勘違いしてました・・・すみません」>尽
尽:「だろ?」ちょっと目配せして、笑う(笑)
真琴:「言われてみれば・・・そうでした(苦笑)」一寸自分にあきれ
怜:真琴と尽のやり取りについては横目で見るだけに留める……
尽:これ以上は言うとマズいので、特に追求はしないよ。
怜:アイコンタクトでフォローサンクス、とだけ<やりとり>尽
尽:どういたしましてー(アイコンタクト(笑))>怜
ドクトル:「分かりません・・・少なくとも、消息不明であることは間違いありません」
怜:「強引な推測ですが……”彼女”がディメンジョン=ガジェットを取り込んでいたとしたら?……融合の衝撃で記憶を失くしているとしたら……これは流石に強引過ぎですね(苦笑)」
ドクトル:「現状では、いかなる推測も可能でしょう・・・極論、彼女の身柄を再度確保する必要があるかもしれません」
怜:「それは……彼女と関係する人間の心情考えると最終手段ですね」<身柄確保
真琴:「ま、彼女の友達は・・・それを許しはしないでしょうし(くす)」
ドクトル:「ええ・・・まずリリスが納得しますまい(苦笑)」
尽:「俺も納得しかねるな(ははっ)」
ドクトル:「リリスを見れば、この私にも一目瞭然ですとも(苦笑)」
怜:「ありがとうございます。研究者としては……興味がないと言ったら嘘になります。しかし一個人となったら……また別、ですね(苦笑)」
智律:「あ、あのですね・・・。僕は・・・。質問じゃなくてお願いがあるんですが・・・。」>ドクトル
ドクトル:「ふむ・・・?」>智律
智律:「この・・。沙弥さんのユグドラシルβを…。元のようになんては言えませんが・・・。また、動かせるように出来ないでしょうか・・・?」
ドクトル「オリジナルのパワーユニットは欠損していますが・・・代用品を取り付けることは可能でしょう。しかし、何故に…?」
智律:「・・・僕達は、過去の…。あの時の事や自分達の事を色々と調べているです。・・・なら、きっと・・・。このユグドラシルこそ、その時の事を知る権利があると思うです…。」
ドクトル:「ふむ・・・」
智律:「…僕と沙弥さんの間にも、色々とあるみたい・・・、ですし・・・。何かのきっかけになるかもしれませんから・・・。」
ドクトル:「あなたと・・・『沙弥』・・・?」
智律:「・・・・僕の顔を見て、ドクトル、何か気がついたでしょう(微苦笑)」
ドクトル:「沙弥・・・確か『三女神』のひとりで、ディメンジョン=ガジェットのテストドライバー・・・そういえば、あなたは彼女に良く似ていますね。」
智律:「…僕は…。沙弥さんの…。『出来損ない』・・・。だということですから…。」>ドクトル
ドクトル:「すると・・・D=Gの計画に遺伝子工学関連が追加されたのは・・・あの2人がプロフェッサー=コスを招聘したのは、そういう事でしたか・・・」
智律:「……。」ただ静かに…。悲しいまで静かに微笑…。
ドクトル:「それなら、あなたは・・・あの3人を追うべきでしょうね・・・。」>智律
智律:「はいです…。だから…。だから全てを知るために…。…そして、全てを知る力の為に…。僕はユグドラシルの力を借りたいんです…。」
ドクトル:「なるほど、そういう事でしたか・・・。」
智律:「…僕は…。約束したですから…。沙弥さんと…。沙弥さん達が…、どうして「あんな事」になったかを…。知らなきゃならないんです…。」
尽:「あの3人・・・」思い出すのはVTRだ
真琴:「アルベール、モルセール、そしてコス・・・」
ドクトル:「なるほど、それなら尚更の事です…実際、D=Gの計画に関しては彼らの方が、私よりも多くを知っているはずです。」
怜:「コス博士がイシマール大学にいるのは存じています」
真琴:「マスタージェスタ―について、何か知っていることは?」
ドクトル:「ジェスター氏ですか・・・詳しくは私も聞いておりませんが、知っている限りではオクタへドロンの方ですよ。」
怜:「オクタヘドロン……ですか!?」これは驚くぞ。
真琴:「ほぅ、オクタヘドロンの・・・・(くす)」
ドクトル:「ええ・・・ディメンジョン=ガジェットもエンジェルシードも、わが社とオクタへドロンの合弁という意味では同じところから出ているといってもいいでしょう。」
真琴:「なるほど・・・ね・・・(くす)」
尽:「・・・」一応聞き覚えて置く。<オクタ=Mジェスター
怜:「……済みません……自分、少し関与しています」<アンブラとオクタヘドロン
尽:「・・・」知ってると思われる(笑)<関係有り
智律:「はわ・・・。そうだったですか!?」>怜お兄ちゃん
怜:「松土研究室の関係で……なんですけどね」<関与
ドクトル:「ふむ(肩をすくめつつ)マスター=ジェスターは・・・私も直接会った事はないのですよ。」
尽:「そうですか・・・」
怜: (これで、二人目かと思う。)
ドクトル:「おそらく、ジェスター氏と面識があるのは社長くらいでしょうね・・・もちろん、私のレベルでは許可など取れませんが・・・。」
怜:「失礼します……博士は誰に招聘されてディメンジョン=ガジェットのプロジェクトに携わることになったのでしょうか?」
ドクトル:「アンブラの社命ですね・・・もっとも、あれは世界的プロジェクトでしたから。」
智律:「・・・はぅ・・・。」
怜:「社命……ですか」頷いて
真琴:「世界的プロジェクト・・・ですか。それこそほとんど全ての組織が動いたのでしょう・・・」呟くように
ドクトル:「ただ、アンゼロット嬢は事件の後、委細を知ったそうですけれどもね」
尽:「ふうん・・・」
怜:「……ふむ(内心:ということはマスタージェスターについては何も知らないって判断するべきか?)」
智律:「…例え世界の為だなんて大義名分を掲げていたとしても…。その代償として・・・。誰かが傷つくなんて許されるはずが無いです・・・。」ポツリと
怜:「(違うよ智律……生きてりゃ傷つくってのは当たり前で……傷つけない、傷つかないためにはそれこそ本当に籠の鳥にするしか、なるしか、ないんだよ……)」口に出さないけど
尽:「それでも・・・誰かのために茨の道を選ぶ奴もいるのさ。そうだろ?(ははっ)」<ぽつりと>智律君
そうこうするうちに、会見時間は終了に近づいていた。
ドクトル:「・・・・・・さて、時間になってしまいましたね・・・。」
尽:「弓ちゃんによろしく・・・そらちゃん心配させないように(笑)」と伝えてくれと言います(笑)
怜:「俺からも蒼魔のこと、お願いします……これは、臥龍学園のOBとして、ですが」
ドクトル「ええ・・・お伝えしておきましょう」
尽:「よろしくお願いします(ははっ)」
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